2020年に発売されたマンガを1巻完結や短編集にしぼって個人的におもしろかった順にカウントダウン形式で紹介していきます!
まだ読んでいない人は参考にしてみてください。2020年に1巻完結のマンガは35作読みました。ちなみに21位以下は次のようになっています。
作品 | 作者 | 順位 |
夏の手 | 大橋裕之 | 21 |
かしこくて勇気ある子ども | 山本美希 | 22 |
天國 パライゾ | 丸尾末広 | 23 |
ありがとうって言って | 二階堂幸 | 24 |
薔薇はシュラバで生まれる | 笹生那実 | 25 |
ロメロは世界を救わない | のがみち | 26 |
猫爪月がのぼるころ | 幸田真希 | 27 |
玉藻の恋 | ミト | 28 |
アルプススタンドのはしの方 | 森マシミ | 29 |
天帝少年 | 中村朝 | 30 |
とりまウチらに話してみ? | 渡瀬ほまり | 31 |
千の夏と夢 | 鯨庭 | 32 |
缶乃短編集 無職とJK | 缶乃 | 33 |
ぱいどん AIで挑む手塚治虫の世界 | 「TEZUKA2020」プロジェクト | 34 |
ヒメカに、僕は。 | 新貝田鉄也郎 | 35 |
20位 姉の友人
ばったんさんの作品。同性に抱く恋心と同性に恋することの難しさを描いたオムニバスストーリー。揺れ動く気持ちを様々な登場人物の視点でみられる。『姉の友人』感想
19位 光と窓
カシワイさんの短編集。安房直子や草野心平などの児童文学や詞が原作。大正、昭和期の少し寂しい雰囲気のある作品を独自の解釈で優しく描いている。『光と窓』感想
18位 イトイ圭作品集 ナインストーリーズ
イトイ圭さんの短編9編。恋愛ものが主体だが、東日本大震災を比喩的に描いた作品や福島第一原発事故に対する風刺的な作品もあり、ひと味違う。全体的には短め。『ナインストーリーズ』感想
17位 塀の中の美容室
小日向まるこさんの作品。桜井美奈さんの同名小説が原作。女子刑務所内にある美容院が舞台。美容師の資格を取得した受刑者が一般客の髪を切る。髪を切ることによって客だけでなく髪を切る受刑者にも心の変化が表れる。一話完結だが、お店と客という設定の割にワンパターンでなく、コンパクトな物語。『塀の中の美容室』感想
16位 バー・オクトパス
スケラッコさんの作品。タコの店主が営むバーを舞台に、様々な海の客を描いたオムニバスストーリー。酒の席でよくある話がおもしろい。面倒な人間も魚だと思えたら少し許せそうに思える。『バー・オクトパス』感想
15位 パルノグラフィティ
板垣巴留さんのエッセイマンガ。父は『バキ』の漫画家・板垣恵介。父を漫画家に持つ特殊な家庭環境だが、意外と穏やかな人生を歩んでいる。普通が一番幸せだと気づかされる。ちゃんとマンガの見せ方を忘れておらず、飽きさせない。『パルノグラフィティ』感想
14位 ハカセの失敗
七野ワビせんさんの作品。世界征服のために自分のクローンを生み出したマッドサイエンティストがそのクローンの子育てに奮闘する。基本はコメディだが、子育てや人を愛することの意味を考えさせられるストーリー。『ハカセの失敗』感想
13位 マイ・ブロークン・マリコ
平庫ワカさんの初書籍化作品。どうしようもなく不幸な主人公が親友の死をきっかけに親友の思いを遂げようとするストーリー。印象的なシーンを描くのがうまい。『イーサカ』という短編も収録。『マイ・ブロークン・マリコ』感想
12位 遠田おと短編集 にくをはぐ
遠田おとさん初の短編集。表題作は猟師の娘として生まれながら、身体と心の性の不一致に苦しむ女性を描いた短編。インパクトのあるストーリーと高い画力を兼ね備える。『にくをはぐ』感想
11位 田舎
山本直樹さんの作品。勉強のため夏休みの間だけ親戚の家に滞在している受験生と、親戚の女の子とのエロティックな関係を描いている。当初は一般書籍として発売されたが、後にAmazonで販売停止になり、他サービスでも成人指定された問題作。『田舎』感想
10位 まにまに道草
大町テラスさんの作品。子育てを終えた主婦がふと訪れた自由な生活に胸を躍らせる。ほっとする安心感がありつつ、中年女性の色っぽさとあやうさを感じるストーリー。『まにまに道草』感想
9位 消えたママ友
野原広子さんの長編マンガ。あるママ友の突然の失踪が人間関係の亀裂を生んでいく。「ママ友」という関係のもろさを浮き彫りにした作品。4コマエッセイ風の絵柄で描かれる、サスペンスミステリー。『消えたママ友』感想
8位 イン・ザ・ポケット 谷和野よみきり集
谷和野さんの短編集。メルヘンチックな中にも大人の毒が少し混ぜられている。子どもと大人で違う読み味になるであろう一冊。『イン・ザ・ポケット』感想
7位 ひとりの夜にあなたと話したい10のこと
カシワイさんの作品。夜をテーマにした連作短編。形式はマンガだったりそうじゃなかったりまちまち。枕元に置いておき、読みながら眠りに落ちるのにぴったりな一冊。『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』感想
6位 プレゼントフォーユー
四宮しのさんの短編集。恋人、友人、家族など大切な人からもらったプレゼントがテーマの連作。プレゼントは形のあるものから形のないものまで様々。心のあたたまるストーリー14編。『プレゼントフォーユー』感想
5位 浄土るる短編集 地獄色
19才の鬼才・浄土るるさん初の書籍化作品。かわいい絵柄と残酷な表現とのギャップが激しい。マンガ界に衝撃を残す一冊。『地獄色』感想
4位 カラオケ行こ!
和山やまさんの長編マンガ。合唱部に所属している中学生、岡聡実とヤクザの狂児との奇妙な友情を描いている。怖いけどカッコいい、でもダサい狂児のキャラクターがおもしろい。ヤクザ相手にずけずけものを言う岡君もいいキャラ。『カラオケ行こ!』感想
3位 ふつうのきもち
『ぼのぼの』のいがらしみきおさんのマンガ。子どもの目を通した日常をみずみずしく描いたノスタルジックなストーリー。舞台は現代。連載中にコロナ禍になり、物語もコロナが蔓延した世界に突入していく。取って付けたような希望を示すのではなく、感染症が流行する世の中でも普通に生きていくこととは何かを示した作品になっている。『ふつうのきもち』感想
2位 麦酒姫 朝陽昇作品集
朝陽昇さんの短編集。他ではあまり見られない着眼点がおもしろい。作品によってタッチを変えられる技術を持ち合わせている。読んでいても同じ作家が描いているように思えないくらい飽きさせない。『麦酒姫』感想
1位 爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇
水と墨で描く異色の漫画家、森泉岳土さんの短編集。抽象的な作品が多い作家だが、本作は比較的ポップでわかりやすい作品が多く、初心者でも読みやすい。近年の作品を無作為に集めているはずなのに、「死」というテーマ性が浮かび上がってくる不思議な一冊。『爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇』感想
まとめ
本当に、漫画賞に選ばれたからとか話題になっているからとかいう忖度なしに選びました。出版社さんから宣伝を頼まれてもないですから。あくまで個人的な趣味で選んだものです。大人が読んでも面白いラインナップになったんじゃないでしょうか。楽しんでもらえたらうれしいです。
コメント