エログロマンガの巨匠、丸尾末広さんの「笑う吸血鬼」を紹介します。
2巻完結で、独特のエッセンスも詰まっていておすすめですよ。
「笑う吸血鬼」あらすじ
中学生・毛利耿之助は謎の女から受けた血によって吸血鬼となった!
無垢な同級生、宮脇留奈。
夜な夜な悪事を働く辺見外男。
幼いころに姉が行方不明になってしまった橘マコト。
酒池肉林のパーティー。
闇にはびこる亡者たちの毒牙が人々を襲う!
登場人物
毛利耿之助
屋久中学校に通う中学生。
妖しい魅力を持っている。
駱駝女の血を受けて吸血鬼になった。
駱駝女
関東大震災のころ、死体をあさりながら生きていた醜い女。
吊るされ、埋められた後、不死身の吸血鬼となって蘇った。
100年以上生きている。
宮脇留奈
屋久中学校の生徒。
援助交際や性行為に対して強い嫌悪感を抱いている。
辺見外男
屋久中学校の生徒。
夜な夜な放火を繰り返している。
橘マコト
幼いころに姉のミコが誘拐されて以来、姉を探し続けている。
父はおらず、母は水商売をしていて家庭は崩壊しつつある。
魅力①様々なオマージュ!
丸尾末広作品の魅力は様々なオマージュです。
「笑う吸血鬼」には特にドラキュラ映画のオマージュが多いですね。
丸尾さんのマンガは日本的なレトロさを感じさせる作品が多いですが、「笑う吸血鬼」はドラキュラが題材だけあって、より西洋風の雰囲気が楽しめます。
和洋折衷な独自の世界観が広がりますよ。
魅力②エロティックな裸体!
「笑う吸血鬼」には女性の裸体が多く出てきます。
少女の若々しい体から、年を重ねた女性の体まで様々です。
ヌードに関してもどこかで見たような構図で描かれているんですよね。
血のしたたるグロテスクな表現の中にも、美しい構図で描かれる裸体がエロティックです。
魅力③錯覚を起こすトリックメイクのような顔!
「笑う吸血鬼」の中には、顔にいくつも目を描いたような表現が出てきます。
落ちる動きや、動揺した心情を表す表現ですが、トリックメイクのようで見ているだけでめまいがしてきそうです。
ダークな世界に引きずり込まれそうですね。
「笑う吸血鬼」のメッセージとは?
「笑う吸血鬼」は2000年に発売されました。
当時は、援助交際やオヤジ狩り、誘拐、家庭崩壊などが問題になっていました。
「笑う吸血鬼」にもそういったシーンが出てきます。
しかし、そういった問題をただ批判的に描いたわけではないと思うんですよね。
「笑う吸血鬼」ではありのままの人間を描いているんだと思います。
援助交際やオヤジ狩りをしている当の本人たちは、きっとそれが異常なことだと思ってないですよね。
現実に目を背けつつ、自分の欲望を選んでいるわけです。
このマンガでは「はたから見れば結構異常だぞ」ってことが表現されているんじゃないでしょうか。
中学校の名前も「ヤク中」ですから、シニカルですよね。
丸尾さんの目を通してみれば、案外いろんなことがエログロに見えちゃうのかもしれませんね。
エログロ苦手な人にはさすがに…
エログロが苦手な人にさすがに無理にはおすすめしません。
ちゃんとエロいし、ちゃんとグロいですからね。
苦手な人からすれば見るに堪えないでしょう。
でも、マンガ好きならエログロ作品も抑えておきたいですよね。
丸尾さんはエログロ界の巨匠ですし、昔から海外での評価も高いです。
評価されているのはやはり、レトロでエロティックな世界観じゃないでしょうか。
一枚絵として見たときの妖しい美しさは丸尾さんならではです。
大人だったら勇気を出して持っておきませんか?
まとめ
「笑う吸血鬼」は吸血鬼のグロテスクさと、妖しいエロティシズムが楽しめる作品です。
援助交際や誘拐など、当時の世相をシニカルに描き、吸血鬼だけでなく人間の恐ろしさも表現されています。
丸尾さんのレトロで精密な絵と吸血鬼のダークな世界観がすごく合っています。
「笑う吸血鬼」は2巻完結で、紙の本、電子書籍ともにKADOKAWA・ビームコミックスから発売されています。
ぜひ読んでみてくださいね。
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