忘れかけていたおばあちゃんとの思い出。
故郷で忘れられようとしている古い風習。
そんな記憶がよみがえるとしたら?
「ひぐらし日記」は著者の日暮えむさんの日記をもとにしたエッセイ漫画です。昭和50年代の千葉が舞台となっています。
当時の風習はきっとあなたの興味をひくものだと思います。
あなたもノスタルジックな気持ちになってみませんか?
40年間毎日書いた日記をもとにしたエッセイ漫画
著者は小学3年生のころに先生から毎日日記を書くよう言われて以来、毎日日記を書いているそうです。
毎日、40年間!驚くべきことです。
小学校の先生もまさかそんな想像はしていなかったでしょう。
日記を書くことは、その日の出来事や感情を記録し、将来振り返るための貴重な資料となります。書かれた記録は、時間が経つにつれて忘れられがちな細かい詳細を残しておくことができます。また、過去の日記を振り返ることで、自分の成長や変化を確認し、人生の旅を振り返ることができます。
この作品は著者の古い日記をもとにした漫画で、絵とともにより鮮明に当時の様子が伝わってきます。
「としょさん」との思い出
この作品には「としょさん」との優しい思い出がつまっています。
「としょさん」とは、著者の住んでいた村の言葉で、曾祖母を指します。
つまり、ひいおばあちゃんのことです。
この漫画の魅力として、著者が日記をそのまま漫画にしているわけではなく、子供のころの日記を読み返したときの今の自分があらわされているという点があります。
としょさんがひ孫であった自分をどれだけかわいがってくれたか。
ひ孫であった自分がとしょさんにどれだけ失礼なことをしてしまったか。
大人になったからこそ少しわかる当時のとしょさんの思い。大人として自分はどうあるべきか?それは、大人の自分と亡くなったひいおばあちゃんとの時空を超えた対話とも言えます。
きっとあなたも自分のおばあちゃんのことを思い浮かべることでしょう。
消えゆく昭和の記憶
この作品には消えゆく昭和の記憶があります。
炭を使った掘りごたつ。
節分やお盆などの古いしきたり。
地域によって細かい違いがあり、今は存在しないものもありますが、あなたにとってもどこか懐かしく感じられることでしょう。
しかし、そんな記憶も現代では消えつつあります。
かつては、季節の移り変わりや農作業の始まりを祝うための祭りや儀式が行われていました。しかし、都市化や近代化の進展により、そのような伝統的な祭りや儀式が徐々に姿を消してしまいました。一部の地域では、地域のアイデンティティを守るために祭りや儀式が続けられていますが、その数は減少しています。
また、民間信仰もたくさんありました。悪霊を払うためのお守りやおまじない、縁起の良い日に行う風習などがありましたが、近代化とともにこれらの風習は次第に衰退し、消えていったと言われています。
そうした様々な文化や風習も、としょさんとの思い出とともに語られることによって、よりあざやかに伝わってきます。
そして、さまざまな思い出があったからこそ、としょさんが亡くなったときの深い悲しみがひしひしと伝わってきます。
はじめて身近な人を失った悲しみ
元気だったとしょさんとも、やがて別れがやってきます。
としょさんは子宮がんをわずらい、徐々に体が弱ってしまいます。
身近な人が子宮がんで徐々に弱っていく様子は、非常に辛い経験であったことと想像します。家族にとっても深い悲しみや無力感をもたらしたことでしょう。
亡くなる瞬間は、家族にとって非常に辛い別れであったことと思います。
がんとの闘病や最期の別れは、家族にとって決して忘れられない経験となります。
あなたも身近な人の死を経験したことでしょう。それがはじめての経験であれば、なおさらショックなことです。
ただ、まだ若く幼かったからこそ、多くのことを感じたのではないでしょうか?
著者も、としょさんを失ったまさにその日も日記を書いていたのです。
ぽっくり逝きたいと言っていたとしょさんが痛みに苦しむ様子。
としょさんを失った時の悲しみ。
としょさんの葬儀。
そのときどんな気持ちだったか?
この作品には身近な人を失ったときに起こったたくさんの出来事がこと細かに描かれています。それはなにも悲しいことだけではありません。
葬儀の時にお坊さんがどんなことをしたか?とか
宮大工のお父さんが棺桶を作ろうとしていたなあとか
土葬の時、竹を刺していたなあとか。
多感な時期に経験したからこそ、これだけ細かく描かれているのではないでしょうか?
きっとあなたもはじめて身近な人を失った時のことを思い出すことでしょう。
まとめ
この作品は、毎日日記を書いてきたからこそわかる様々な細かいことが描かれています。そして、大切な人、としょさんとの別れについても。
それは悲しみだけでなく、まだ子供だったときに感じた様々な思い出とともに語られています。
私も、幼いころに身近な人を亡くしたときを思い出しました。
この作品は懐かしさとともに、きっとあなたの悲しみを癒してくれると思います。
著者の日暮えむさんには、貴重な経験を漫画にしてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
あなたにはどんな思い出がありますか?
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