1巻完結,短編集

「千の夏と夢」味のあるファンタジー?マンガ短編集レビュー!

こんにちは、きたはちです。

5巻以内完結や短編集のマンガをこよなく愛しています。

鯨庭さんのマンガ短編集「千の夏と夢」が11月27日に発売されました!おめでとうございます!

マンガの技術としてはまだまだなところが目立ちますが、感情の描き方展開の仕方に光るものを感じます。ファンタジーが好きな人よりも、いい裏切りをされたいという人におすすめですね。

概要や収録作品のあらすじ、魅力を紹介しますね。

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千の夏と夢 紹介

SNSで話題! 収録作品累計いいね数35万!

鮮麗な新世代・鯨庭初作品集。

龍・鬼・ケンタウロス・グリフィン――

伝説の生物と人との関わりを軸に描かれる切実な物語。

平穏に爪を立てる5つの短編。

千の夏と夢 Amazon商品詳細ページより引用

掴みとして「SNSでいいね○万」とか「龍・鬼・ケンタウロス…」とかは惹かれるところですが、この短編集の魅力は別のところにあると思います。フラットな気持ちで読んでほしいですね。

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千の夏と夢 収録作品

5つの短編のタイトルはつぎの通りです。

いとしくておいしい

ばかな鬼

君はそれでもやさしかった

僕のジル

千の夏と夢

「千の夏と夢」は全236ページ、1つの話につき30~50ページなので短編としては長めですね。

「ばかな鬼」はトーチWEBで無料公開しています!

それぞれの短編についてネタバレしない程度に簡単に紹介します。

いとしくておいしい

沼に住むと、生贄にささげられた娘の話です。龍は生贄の娘を食べてはいなかったのですが、それにはある秘密がありました。

龍の目がまるで人間のようで痛いほど感情が伝わってきますね。

ばかな鬼

馬の頭に鹿の角を生やした鬼と、その鬼に山の中で育てられた孤児の話です。

こちらも鬼の目にあふれる感情がよく表現されています。

君はそれでもやさしかった

ある場所で目覚めたケンタウロス・ユウとユウが目覚めた場所にいたアイという少女の話です。

最初は言葉を話せなかったユウが驚くほど知能が発達していく様子が面白いですね。「やさしい」とは何かを考えさせられる作品です。

僕のジル

鷲の頭と翼、獅子の下半身をもったグリフィンと、頭と翼は鷲ですが、下半身は馬のヒポグリフの話です。この世界ではグリフィンはすでに見つかっていますが、ヒポグリフは幻の動物とされています。ある研究者が経験した出来事が描かれています。

千の夏と夢

お父さんを突然亡くしてしまった女の子・千夏の話です。お父さんのお葬式が終わった日、千夏が寝ていると夢の中にお父さんが出てきました。それ以来、お父さんは毎晩夢の中に出てくるのですが…。

主な出来事は千夏のまわりで起こっていて、千夏はあくまで素直に生きているという構図が面白い話ですね。

魅力①悲しい、苦しいなどの感情表現がいい!

この短編集では、悲しみと苦しみの感情が痛々しく表現されています。「いとしくておいしい」の龍、「ばかな鬼」の鬼だけでなく、他の登場人物にしてもそうです。鬼気迫る表情が読者をざわざわさせますね。登場人物のかもし出す危機感に迫力があって、物語を盛り上げてくれます。

悲しみ、苦しみがうまく表現されているからこそ、危機が去った時の安心感も際立って感じられます。

魅力②奇をてらいすぎていない展開がいい!

素直な心が感じられる展開がいいですね。ドキッとする展開もありますが、最後には心が温まる話なので好感が持てます。

ぼくの偏見ですが、SNSで話題になるマンガってインパクト重視なところがあると思います。びっくりしたり、心がえぐられるような感じがしたりする話が話題になるのは分かりますが、そういった作品ばかり読んでいると体力を使いますよね。

鯨庭さんのお話は、インパクトはありつつ、やさしい心を感じるようなお話なのがいいですね。

魅力③幻獣への愛が感じられる!

このマンガでは、鯨庭さんの「幻獣が描きたい!」っていう気持ちが本当に伝わってきます。

特に「僕のジル」のグリフィンとヒポグリフがいいですね。羽の一本一本まで丁寧に描かれているんですよね。温室の熱帯植物もバリエーションがあって楽しいです。

マンガの技術はまだまだ…

魅力はありますが、マンガの技術はまだまだなところが目立ちます。

無駄な説明やセリフが多くて分かりづらいですし、コマ割りも細かすぎるところや凝りすぎているところがあります。難しい構図に挑戦しているところもありますが、残念ながら画力が追いついていないところもありますね。

絵はいい意味でクセがあるので無理に直すところではないですが、もうちょっと読みやすくなればなと思います。色々な作品の影響は感じられますが、鯨庭さんだけの世界を作っていってほしいですね。

まとめ

「千の夏と夢」は裏切られながらもいい話が読みたいという人におすすめの短編集になっています。技術的にまだまだなところも目立ちますが、いい意味での味も感じられますね。次の作品にも期待したいところです。

鯨庭さんの短編集「千の夏と夢」はリイド社・トーチコミックスから発売されています。ぜひ読んでみてくださいね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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