NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉neo」、みなさん見てますか?10月8日の放送回に登場したのが岩本ナオさんです。
こんにちは。きたはちです。5巻以内完結のマンガや短編集をよく読んでいます。
この記事では、その岩本ナオさんのマンガ、「金の国 水の国」を紹介します。背景の緻密さにうっとり、駆け引きや人間ドラマがあっておすすめですよ。
私は電子書籍で購入しましたが、面白かったし、292ページのボリュームの割には値段もお手頃なので買ってよかったですね。
ただ、緻密なタッチは紙の本の方がより楽しめるかもしれません。
「金の国 水の国」あらすじ
昔々、隣り合う仲の悪い国がありました。
毎日毎日、つまらないことでいがみ合い、
とうとう犬のうんこの片づけの件で戦争になってしまい
慌てて仲裁に入った神様は2つの国の族長に言いました。
A国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやり
B国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさい―――
そんな中、A国の姫・サーラはB国の青年と偶然出会い…!?
岩本ナオ「金の国 水の国」Amazon商品ページより引用
最初は勝手にRPG的な世界観かなと思いましたが、歴史マンガのようなしっかりとした作りこみですね。
おそらく、ペルシャ帝国やオスマン帝国あたりをモチーフにしているんじゃないでしょうか。
金の国は砂漠の中にあるアラビアンナイトにでてくるような国、水の国は貧しいですが水が豊富なところで、衣装はトルコ風です、
魔法もモンスターも出てこないですが、スペクタクルとロマンスがあって楽しい物語ですよ。
主な登場人物
サーラ
A国のはずれに住む、第93王女。大きな屋敷にばあやと二人で暮らしている。
ナランバヤル
B国に住む、学者のせがれで設計士。仕事もなくて、腕っぷしもからっきしだが、口だけは達者。
B国に迷い込んだサーラを助ける。
魅力①背景が細かい!
「金の国~」の背景は本当に細かいです。「漫勉」で浦沢直樹さんが最近の岩本ナオさんのマンガ「マロニエ王国の七人の騎士」の背景のすごさを褒めていましたが、試し読みした限りでは違いがわからなかったですね。「金の国~」も相当緻密に描かれていますよ。
絵もそうですが、歴史的な背景もしっかりしてるんですよね。写実的な描かれ方は少し男性っぽくもありますね。
非常に細かいカケアミもきれいですね。地平線にそって広がる金の国の都が圧巻ですよ!
魅力②比喩的な感情表現!
岩本さんは感情の描き方がいいです。
たとえば、ショックを受けたときに石畳の道がガラガラと崩れるようなシーンがあります。実際には崩れてないのですが、道が崩れて感じられるほどのショックの大きさが伝わってくるんですよね。こういった比喩的な表現は少女マンガだなーと思いますね。
大河ドラマのような荘厳な歴史物語だと思っても、根底にはちゃんと少女マンガがあるんです。
魅力③男性と女性の描き方がいい!
少女マンガを感じさせるところは他にもあります。
王女のサーラの心情が細やかに描かれているところと、男性がタフで頼りがいがあるところです。
そうはいっても、肝心の相手役のナランバヤルは仕事も力もありません。サーラも国一番の美人という設定ではありません。そこが逆に、女性にとっても男性にとっても親近感がわきますよね。
でも、二人ともここぞというときにカッコいいんです。読んでいる人に勇気をくれるような話なんですよね。
モブや敵役がちょっと雑…?
「金の国~」のちょっと残念なところは、モブキャラや敵役の顔がちょっと簡単に描かれすぎかなというところですね。
終盤に仲間になる人とかは結構見せ場があるので、もうちょっと丁寧に描いてほしかったなっていうのが、読者としての心情です。
ワンピースにありがちな登場人物を有名人に似せちゃうところも個人的にはいらないかなと思いました。
まとめ
「金の国~」は歴史マンガのような背景のしっかりしたマンガですね。
でも根底には女の子がワクワクするような少女マンガスピリッツがあるような気がします。
もちろん男性が読んでも楽しいですよ。
ぜひ読んでみてくださいね。
ちなみに、「浦沢直樹の漫勉neo」はこれまでの3回の放送分がNHK Eテレで10月17日に再放送されます。もちろん岩本ナオさんの回もやりますよ。
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