マンガ『呪いと性春 文野紋短編集』が1月12日に発売されました!おめでとうございます!
現代を生きる少女たちの情念を描いた短編集。エロティックな描写もリアル。男性も女性も心がえぐられるような気持ちになります。
好みは分かれるかもしれませんが、ストーリーも絵も質の高い短編集なのでおすすめです。
この記事では、『呪いと性春』の魅力や感想などをまとめていきます!
『呪いと性春 文野紋短編集』概要
特別な私を、死ぬほど愛して。
私を神様にしてくれるストーカー男子に執着する。『呪いと性春』
汚部屋女子の可愛くもリアルな生活感。『秘密の花園pink』
安心を求めてパパを飼い、歪な家族を作り上げる。『毒は廻る』
満たされない愛情を嘆く、共依存賛歌。『神様の心臓』
その他、2編を加えた、計6編を収録。
Twitterやコミティアで話題騒然。
死んでも目が離せない異才・文野紋が贈る、
美しくも歪な初単行本。
呪いと性春 文野紋短編集 Amazon詳細ページより
恋愛感情と性欲のはざまで揺れ動く少女を描いた作品が多いですね。
男の醜い性欲に嫌悪を感じつつ、一方で気持ちよさも知っている少女。
キモオタを軽蔑しながら活動する地下アイドル。
その地下アイドルをやっている同級生への憧れと恋愛感情がないまぜになっている少女。
現代に生きる少女たちの複雑な感情を表しています。
電子書籍版には表題作『呪いと性春』のコミティア版の他、カラーイラストなど全56ページもの特典ページがついています。
魅力①「メンヘラ」や「地雷系」を深堀り!
文野さんの作品は、いわゆる「メンヘラ」や「地雷系」を深堀りしているのがすごいところです。
メンヘラや地雷系と呼ばれている少女たちは、今や記号化されて、お笑いのネタにされることもしばしばありますよね。
でも、そんな少女たちも彼女たちなりに事情があるんじゃないでしょうか。この短編集はそんな少女たちの心に寄り添うような物語だと思います。少女の情念を表現しているという意味では、昭和歌謡や演歌のようですね。
Amazonの低評価レビューで、「確実な答え(結論)がない」なんていうのがありました。「結局何が言いたいのかわからない」ということだと思うんですが、人生に答えなんかないので結論がなくて当然だと思うんですよね。
「こういう少女がどこかにいる」という、ただそれだけの話。でも、少女が抱えた思いの深さを伝えるという意味で意義深い作品なのではないでしょうか。
魅力②画力と目力!
文野さんは東京藝術大学を目指した経験があることをあとがきで語っています。
それだけあって、人物のデッサンや影のつけ方、凝った構図もお手のものといった感じです。
表情もいいですね。特に目の光がいいです。興奮したときの目の輝き、冷めた生気のない目。だいたい漫画家さんって目の描き方のパターンがあると思うんですが、文野さんはパターンを決めずに自由な絵柄で目を描いているような気がします。画風が定まっていないからこそ様々な表情が見られます。
魅力③時々かわいい!神々しい!
表題作『呪いと性春』は女子高生・三上と三上をストーカーする同級生・高津戸の話です。
この作品で三上が教室で高津戸にパンツを見せるシーンがあるんですが、そのシーンがなんとも神々しいんですよね。
また、『ぼくら地獄の逃避行』という話では地下アイドルのかわいいシーンがあります。
性的な意味で俗っぽさのある作品にも関わらず、神々しかったりかわいかったりするという、絵とストーリーのギャップがいいですね。
少年少女の持つ冷たさとポップさの二面性を表現した中島哲也監督の映画「告白」を彷彿させます。
「メンヘラ」とか「地雷系」とかが苦手だとハマらないかも…
「メンヘラ」や「地雷系」とかがジャンルとして生理的に受け付けないという人にはハマらないでしょう。「結局この女の子は何がしたいのかわからない」と感じてしまうかもしれません。
もしかしたら、この作品が苦手な人を理解するきっかけになるかもしれないと思って読んでみるのはどうでしょうか。
まとめ
『呪いと性春』は、欲望やフラストレーションを抱えた少女たちを、高い画力で深く描いている短編集です。ぜひ読んでみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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