おしゃれでかわいい絵のマンガを探してる
っていう人には西村ツチカさんの漫画短編集「アイスバーン」がおすすめですよ。
こんにちは。きたはちです。
5巻以内完結のマンガや短編集をよく読んでいます。
「アイスバーン」は絵が可愛いんですがそれだけじゃないんですよね。
「アイスバーン」はムーミンみたいなメルヘンな絵?
西村ツチカさんの絵は「ムーミン」のトーベ・ヤンソンさんの挿絵ような雰囲気があります。
まず、影のつけ方が個性的です。
マンガで影をつけるときはカケアミという手法が多く使われますが、西村さんは「カナアミ」という独自の影のつけ方をします。
それが日本のマンガの概念のないムーミンと偶然似てるんですよね。
また、雲形定規を使って描いたような均一な線も似ています。
洗練されたデザイン的な絵が北欧っぽくてオシャレですね。
「アイスバーン」収録作品紹介
「アイスバーン」の収録作品はつぎの通りです。
アイスバーン
P対NP問題
エキゾチック ジャパン
ENGLISH CLASS
東京ノート
ココット物語
ゲームくん
友達が描いたマンガ
ここから3作品を選んで紹介しますね。
P対NP問題
売れなくてプライドだけは高い小説家が、本物の天才に出会う話です。
序盤は暗い話ですが、だんだんと話が突拍子のない方向に行くのが楽しいですね。
絵がかわいらしいので序盤の暗さも軽い気持ちで読めます。
ココット物語
両親が不仲な女の子を見かねて、おもちゃたちがプレゼントを用意する話です。
ココットとはヨーロッパから伝えられた折り紙の名前です。
パクパクといったほうがわかりやすいですね。
おもちゃたちはこの折り紙のココットの中に小さなプレゼントを用意します。
トーンを多用した夜の薄暗さと、独特のチョイスのおもちゃたちが幻想的な雰囲気をかもしだしているマンガですね。
ゲームくん
いじめを受けている男の子・やすおと、いじめに加わりながらもこっそりとやすおを助けようとするけんじの話です。
童話のような背景の中で、ドロドロとしたいじめが繰り広げられます。
森が「ザザザ」と風に音をたてるところや、笑い声が風景に消えていくシーンが郷愁をさそいますね。
最後のけんじの笑顔に複雑な気持ちにさせられます。
絵はメルヘンなのに内容は鬱屈した感じ
絵はかわいらしくてメルヘンなのに、西村さんの描くマンガのストーリーは鬱屈としています。
売れなくてプライドの高い小説家の話や、いじめの話もあります。
絵のかわいさとストーリーの暗さのアンバランスな感じがモヤっとして面白いです。
斜めの構図が不安をあおる
西村さんのマンガでは斜めの構図が多用されています。
一方、コマは長方形の四角いコマが並んでいます。
斜めのコマは登場人物の不安な心情や躍動感のあるシーンに使われますが、西村さんのマンガでは普通の会話のときも斜めの構図で描かれています。
斜めのたおれそうな構図が多くてなんとなく不安になってくるんですよね。
日常を普通とは違う角度から見ている視点が感じられます。
デッサンも一見狂ってるように見えるんですが、背景や身体の細かいディテールが表現されていて上手いんですよね。
一つ一つのシーンが印象的です。
ちょっと短い?
「アイスバーン」はすぐ読み終わっちゃうんですよね。
全165ページなのでまあまあ短めなのかなと思います。
セリフも少なめかもしれません。
その分、絵が魅力的ですね。
「他の作品では描き方が違う」というレビューも目にしたので、他の作品も読んでみたいですね。
まとめ
「アイスバーン」はちょっと短めですが、いろんな話が収録されています。
なんとなくイヤな気持ちを呼び起こさせる面白さがありますね。
鬱屈したストーリーとかわいらしい絵のギャップがまたいいです。
「かわいいけどちょっと変わったものを読みたい」という人におすすめのマンガです。
「アイスバーン」は小学館・ビックコミックススペシャルより2017年に発売されています。
ぜひ読んでみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
コメント