1巻完結,短編集

『幻妖能楽集』ほか6作品!2021年11月発売の短いマンガ感想

どうもこんにちはきたはちです。

5巻以内完結や短編集など短いマンガをこよなく愛しています。

このブログでは主に短くてサクッと読める新刊マンガの感想をお伝えしています。どうぞよろしくお願いします。

今回は2021年11月に発売された単巻完結または短編集のマンガの感想を7作品分まとめてみようと思います。

発売されたばかりのマンガで買うのを迷っている人やあたらしいマンガ、マニアックなマンガを探している人はぜひ参考にしてみてください。

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『幻妖能楽集』

2011年11月にぼくが読んで一番面白かったのは『幻妖能楽集』。能の世界を漫画化した短編集です。

日本の伝統芸能である能は、あらゆるものをそぎ落とした舞台芸術。装飾のない白木の舞台で、能面の表情や衣装だけで状況をあらわしています。たとえば、女性だけでも年齢や身分によって使う面がこまかく決められていたり、龍が登場すればウロコ模様の着物であらわしたりといった様に。

そんな優美な能の世界を少女漫画の静謐な筆致で表現したのが本作。描くのは少女漫画界で長年活躍されている波津彬子さん。各作品のごとに解説もついています。解説は金沢能楽美術館の学芸員である山内麻衣子さん。モデルとなった歴史上の人物、面や衣装にこめられた意味など、非常に勉強になります。

マンガ作品にはない登場人物の役割とストーリー展開。能の物語にこめられた日本独自の様式美を感じることができました。

マンガを読みながら能を学ぶことができるアカデミックで大人な一冊です。ぜひ読んでみてください。

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『透明男と人間女』

透明人間の探偵と盲目の女性の恋愛ものです。

人間、エルフ、獣人などあらゆる種族が普通に暮らす世界。町並みは19世紀のロンドンのよう。

まわりの世界が見えない女性とまわりのだれからも見えない男。見えなことが不便なのか、それとも魅力なのか。それとは関係なく、二人のやさしい人がらに癒され、ムズキュンするストーリーです。しかし、見えないことが二人を結びつけているとも言えます。

盲目の登場人物の恋をえがく作品は多くありますが、今の時代、ポリコレ的に触れずらいテーマのような気もします。しかし、見えないことを「萌え」の対象とすること自体に、視覚障がいを持った方々はむしろ歓迎しているようです。作者の岩飛猫さんが取材した視覚障がい者の団体では、「視覚障がいをえがいた作品自体が少ないのでうれしい」という声があったそうです。

純粋な気持ちでえがけば気持ちは伝わる。でも、最低限の配慮が必要。登場人物の二人に萌えつつも、作り手側がそういった配慮を自然とできて、受け手側にもオープンに受け入れられるような世の中になればいいなと、頭のすみで思いました。

『性懲りショートステイ』

エッチでちょっとこじらせた会話劇がたのしめる短編集です。

たとえば、「スペースレクチャー」。高校生の主人公は、突然、同級生の女の子から「セックスを教えてくれませんか?」と頼まれます。でも、なぜか歴史の先生(女)も一緒。どうしてこんな状況になったのか?なぜ歴史の先生も一緒なのか?だんだんと伏線が回収されていきます。

くだらなくて笑えるんだけど、ちょっとエッチ。小劇場の演劇であったら楽しいだろうな。

クセになるおもしろさ。作者の位置原光Zさんの他の作品も読んでみたいな。

『夫は成長教に入信している』

常に成長し続けなければいけないという考えにしばられつづけている夫とその妻のギャグ漫画。

オンラインサロン、マインドフルネスなどなど、いろんな言葉にしばられながら生きていく夫。いわゆる「意識高い系」と呼ばれてきた人たちが働く世代になった結果、病的にポジティブな人種になっていきます。

終盤はメンタルヘルス的な感じになるんですがただただギャグ漫画に徹するべきだったんじゃないかなと思いました。

原作は紀野しずくさん、漫画は北見雨氷さんです。

『ドールハウスの人々』

大学生でありながら国内で有数の人形作家として活動するソウスケ。ソウスケと同居するパートナーのヒヨリ。人形に語りかけ、人形を人間のように扱うソウスケ。

ソウスケはヒヨリを人形愛好家のグループ、”人形会”に連れ出します。

ドールがかもしだす不気味な雰囲気のなかで起こる猟奇殺人事件。怖くてグロくて『金田一少年の事件簿』っぽい感じが楽しめます。

二宮敦人さんの同名小説が原作。pikomaroさんのマンガです。

『ぬくとう君は主夫の人』

主夫として生活する抽冬。妻は会社勤め。小学生の娘が一人。

抽冬は家事をタスク管理しています。掃除、洗濯、料理のほかにも、料理教室に行ったり、娘の送り迎えをしたり。

男性が主夫として暮らすことにも周囲の理解が得られる世の中。すべてが上手く回っている。しかし、ちょっとした壁も生じてきます。

男性が家事をやることについてどうというより、多様な価値観の中で変化する家族のかたちの可能性を考えさせられます。

磯谷友紀さんのマンガです。

『ひとりみ天国』

34歳独身のフリーデザイナー、伊藤一人の日常を面白おかしくえがく4コマ漫画です。

結婚したくないわけじゃないけど相手がいない。仕事上、家に引きこもりがち。それなりに楽しい毎日。だけど、ふと寂しさがつのる。おだやかで愛すべき友達。

こういった自虐系のギャグマンガは、作者自身がそういう境遇にあるからこそおもしろいと思うんですが、このマンガはフィクション。作者のむんこさんは女性で既婚。モデルはいるものの、その人はすでに結婚しているそうです。

独身でおだやかな男性がまわりにいる人にとっては共感を呼ぶかもしれませんが、結婚したくてもできない男性にとってはあまりいい意味にとられないかもしれません。少なくともぼくはちょっと複雑な気持ちになりました。桜玉吉さんや矢寺圭太さんのマンガのほうがおもしろいと思います。

まとめ

というわけで今回は以上です。最後までよんでくださってありがとうございました。

興味のある作品があったらぜひ読んでみてくださいね。

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