変わった恋愛マンガが読みたい
という人には「春と盆暗」がおすすめですよ!
『春と盆暗』は講談社「アフタヌーン」で掲載された熊倉献さんの作品をまとめた短編集で、2017年に発行されたマンガです。
かわいいけどちょっとふしぎな女の子との淡い恋心を描いた作品など4編です。
『春と盆暗』をよんで不思議な人に恋したくなる魅力3選!
『春と盆暗』の魅力は、
・変な女の子の「変さ」がちょうどいい
・頭の中で考えているだけのことを絵に落とし込んでいる
・変な人たちを勇気づける作品になっている
の3つです。登場人物紹介のあと解説します。
『春と盆暗』の登場人物(ネタバレなし)
「春と盆暗」に出てくる女の子はちょっとふしぎです。
「ちょっとふしぎ」というのがどれくらい不思議なのかすこしだけ紹介しますね。
第1話「月面と眼窩」の
レジ打ちのバイトの女の子は、
モヤモヤした時は月に道路標識をなげています。
第1話、「月面と眼窩」はモアイで試し読みできますよ。
第2話「水中都市と中央線」の
援助交際をしている女の子は、
たまに背伸びをして深呼吸をしています。
第3話「仙人掌使いの弟子」の
はとこのお姉さんは、
「その場で1番セキをしている人はマスクをしていないという法則がある」
という謎の理論を持っています。
第4話「甘党たちの荒野」の
お菓子好きの女の子には、
お気に入りのケーキ屋さんのケーキを材料まで巻き戻してほしいと頼まれます。
どの女の子も、現実にいたらおかしいんじゃないかという子ばかりですよね。
変な女の子の「変さ」がちょうどいい
『春と盆暗』に出てくる女の子たちは言うことがかなりぶっとんでいる割に、
イタさを感じさせないところが魅力になっています。
イタさを感じさせないのは、登場する子たちが自分の「変さ」を自覚していて、
折り合いをつけながら生活している様子を描いているからです。
キャラを作っているわけではなく、本当に変なんだということが伝わってきますよ。
頭の中で考えているだけのことを絵に落とし込んでいる
「きっと普通はだれも思っていないことだから、あえて話すことでもない」
っていうこと考えませんか?
たとえば、私だったら「水になりたいな」とかよく考えます。
雨になって遠くの山にふりそそぐこともできるし、
広い海に流れて溶けることもできます。
かわいい子のお風呂場からシャワーになって流れることもできるけど、
そのまま暗い下水に入ったりすることになるだろうなとか考えます。
『春と盆暗』はそういった頭の中だけで考えていることを表現しているのがおもしろいです。
「なんでこの子はこういうことを言ってるんだろう」
と、はじめは理解できないのですが、
話が進むにつれて、女の子の頭の中のイメージが
だんだんと絵になって登場してきます。
そして、
「あんなふうに言ってたのはこういうことだったのか」
とつながります。
主人公の男子がだんだん女の子を理解していく様子を追体験ができますよ。
変な人たちを勇気づける作品
あなたは自分がまわりと違って変だなと思ったことありますか?
「春と盆暗」は変な女の子のほうの視点に立つと、勇気をもらえるような気持ちになります。
もしかしたら変な自分を理解してくれる人が現れるかもしれないと思わせてくれます。
私も自分のことをだいぶ変だと思っていて、
理解してくれる人はそうそういないと諦めています。
同じ日本語を使って話しているのに、人によっては、
「どうも話がかみ合わない」とか
「この人の言ってること全然頭に入ってこない」
っていうことがあります。
違う言語を使ってるんじゃないかと疑うほどです。
そういうことありませんか?
世間は「自分のことはだれにも理解できない」と思っている人が大半で、変な人ばっかりかもしれません。
こんなにぶっとんだ女の子とさえない男子がわかり合えるなら、
変わり者ばかりの世の中だとしても、
「もしかしたら電波があう人がいるかもしれない」
という希望をこのマンガは感じさせてくれます。
まとめ
最近、まわりと違うがために「生きづらさ」を感じている人が増えています。
就職活動やSNSとかのニュースで話題になっているように、
普通でないことを許さない世の中になってきていますよね。
このマンガに出てくる女の子はみんなちょっと変なんですが、
理解すればするほどやっぱり本当に変なことがわかってきます。
それでも、もっともっと理解したいと思う主人公の気持ちが、
だんだん恋なのかわからなくなってくるんですけどね。
むやみに知ろうとすることは、時にはエゴになるかもしれませんが、
それでもこの作品は、「理解しあえることはすばらしい」と伝えてくれます。
変な人ばっかりの世の中で、変な人とたまたま電波がつながって、
分かりあえて恋までできるのは奇跡に近いです。
でも『春と盆暗』を読めばその奇跡を信じられるかもしれませんよ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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