2016年に発売されたマンガ「多田由美短編集 ディア・ダイアリー」を紹介していきます。
こんにちは、きたはちです。
5巻以内完結のマンガや短編集をよく読んでいます。
「ディア・ダイアリー」は多田さんの絵を楽しみたい人や、昔からの多田さんファン向けかと思います。この本だけでは多田さんの作品の本当の面白さはわからない気がしました。
「ディア・ダイアリー」の収録内容や魅力を紹介していきますね。
「ディア・ダイアリー」収録作品
ディア・ダイアリー
Polaris
アナ・クリフト
転瞬
MIAMI
このうち、「Polaris」は12ページ、「アナ・クリフト」は8ページ、「転瞬」は16ページと短めの作品です。収録されている5つののうち3つは短いので物足りなさを感じてしまうかもしれません。他に、「ディア・ダイアリー」のネームと「MIAMI」の後日譚である「the bridegroom」が4ページ、イラストが数点収録されています。
ただ、「ディア・ダイアリー」、「Polaris」、「アナ・クリフト」は全てカラーページなので多田さんの美しい絵が楽しめますね。
なぜ多田由美さんのマンガを買ったのか
そもそもなぜ「ディア・ダイアリー」を買ったのかというと、多田さんの絵が気になっていたからです。Twitterで多田さんが絵やiPadでの制作工程をあげているのを見て、「きれいだな」と思ったのが最初です。
キャラクターは外国人をモデルとしていて色合いが淡くてオシャレなんですよね。キャラクターの美しさだけでなくて、背景の書き込みも細かさにも惹かれました。
多田由美さんは30年以上のキャリアを持つ漫画家さんです。50~70年代ごろのアメリカを舞台とした作品が多いのが特徴で、いわゆる少女マンガとは違います。しかし、線の細い美少年がたくさん出てきて女性は好きなんじゃないかなと思います。最近は大学で教鞭を持つことが多く、寡作のようです。「ディア・ダイアリー」は連載中の「レッド・ベルベット」を除くと一番最近の書籍化作品だったので買ってみようと思いました。
ディア・ダイアリー
表題作の「ディア・ダイアリー」は5、60年代ごろのアメリカを舞台としています。
ノアは母のアリスと二人暮らし。若くして父親を亡くし、母のアリスは勤めをしながらマリリン・モンローのそっくりさんとしても働いています。ノアは学生の傍ら、母の髪のピンカールをして仕事を手伝っています。クラーク・ゲイブルのそっくりさんとその息子のコニーと出会うところから物語ははじまります。
ディア・ダイアリー 感想
他のカラー作品も淡い色合いですが、「ディア・ダイアリー」は特に淡いブルーを基調にしたさわやかさが特徴です。西海岸のヤシの木をバックに淡いブルーの空がとても美しいです。全体的にノスタルジックな雰囲気が漂いますね。
クラーク・ゲイブルのそっくりさん・パウエルは顔の作りはいいものの小太りで稼ぎをすぐに酒に使ってしまいます。パウエルの起こすトラブルもあり、主人公のノアや同じ境遇にあるコニーが翻弄されるのですが、 同年代の青年同士の心の通い合いや親子の微妙な関係性が細やかに表現されていますね。
転瞬
こちらは変わって大正期もしくは昭和初期の日本が舞台です。共産党員の教師二人がある雪の日、山の中で谷に落ちそうになっている憲兵を見つけます。共産党員は憲兵に見つかれば逮捕されてしまいますが、二人のうちの一人である斉藤はその憲兵を助けます。
転瞬 感想
短い作品ですが、教師の斉藤も助けられた憲兵の戸坂も美形なんですよね。似通った二人が共産党員と憲兵という異なる立場によって引き裂かれていく様子が雪の寒さに象徴されているような気がします。憲兵の服装や遊郭の様子が時代の雰囲気をよく表しています。
多田由美さんのマンガの魅力
あらためて多田由美さんのマンガの魅力ついて考えると、一つ一つのコマが絵画のように美しいんですよね。映画のシーンを切り取って美しい一枚の絵にしてコマという額縁に収めている感じです。しかし、思っていたよりは細かい筆致ではなくて、ある程度くずしています。それによってあたたかさがでていますね。
まとめ
「ディア・ダイアリー」はカラーページが多くて絵の美しさを楽しめますが、ストーリーを十分楽しめるかというとちょっと物足りないかもしれません。現在連載中の「レッド・ベルベット」も読んでみたいですね。気になる人は読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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