日本の児童文学を描いたマンガないかな
という人はカシワイさんの「光と窓」がおすすめです。
日本の児童文学のストーリーとカシワイさんのやさしい絵柄がマッチしてとても雰囲気のある作品になってますよ。
少しもの悲しい作品は、大人が読んでひたれるような内容ですね。
カシワイ「光と窓」で癒されたい。
こんな内容になっています。
・概要
・児童文学をそのままマンガにしてるわけじゃないのがすごい
・ちょっとかなしいのがいい
・作品紹介①「ごびらっふの独白」
・作品紹介②「金の輪」
・作品紹介③「夕日の国」
概要
「光と窓」は2020年にリイド社から発行されたカシワイさんの短編集です。
カシワイさんの漫画の作品集としては2作目です。
カシワイさんはイラストレーターとしても活動されています。
1作目の「107号室通信」についてはこちらの記事を読んでください。
安房直子、宮沢賢治らの児童文学をカシワイさんのやさしい絵柄で描いた短編7編が収録されています。
リイド社のWebメディア・トーチWEBで収録作の「小さいやさしい右手」前・後編が公開中です。
収録作品
「夕日の国」原作・安房直子
「金の輪」原作・小川未明
「こうちゃん」へ・須賀敦子「こうちゃん」より
「ごびらっふの独白」原作・草野心平
「小さいやさしい右手」原作・安房直子
「ひとつの火」原作・新美南吉
「注文の多い料理店 序文」原作・宮沢賢治
児童文学をそのままマンガにしてるわけじゃないのがすごい
「光と窓」は児童文学が原作にはなっているものの、文章をそのままマンガにおこしたものにはなっていません。
草野心平さんの「ごびらっふの独白」は「かえる語」(カエルの言葉)で書かれた詩です。
るてえる びる もれとりり がいく。
引用―草野心平「ごびらっふの独白」
など、意味の通らない言葉が連なっています。
カシワイさんはこの意味の通らない詩から、ある少女とカエルの視点を通した一日をマンガにしています。
草野心平さんの詩からふくらませた想像力がすごいですね。
ちょっとかなしいのがいい
「光と窓」に収録されている作品の原作者は全て日本の作家さんたちです。
「金の輪」や「こうちゃんへ」など、ちょっと悲しさやさびしさを感じる作品が多いです。
ストーリーはかなしいですが、カシワイさんの絵がやさしいのでちょうどいいバランスが取れているんですよね。
少し湿り気のある感じが日本っぽさを感じますよ。
作品紹介①「ごびらっふの独白」
草野心平さんの詩「ごびらっふの独白」を下敷きに、カシワイさんが絵をつけています。
カエルがめっちゃかわいいですね。
小学生の女の子が下校途中に1匹のカエルと出会う話になっています。
傘の先から垂れるしずく、あじさい、クモの巣にかかった水滴。
梅雨ならではのイメージが連なっています。雨の日に読むには最適ですね。
日本語訳のところはカエル目線で描かれていて、水の中の世界がとっても幻想的ですよ。
作品紹介②「金の輪」
「金の輪」の原作は小川未明さんです。
マンガでは日本的な風景を舞台にしています。
病弱な主人公の少年が、ある日2つの金の輪を回してあそんでいる別の少年に出会います。
主人公の少年はその後、熱を出して亡くなってしまいます。
原作は青空文庫で読めます。
悲しい物語ですが、原作の雰囲気を残しつつ、カシワイさんならではのやさしさがこもった作品になっていますよ。
作品紹介③「夕日の国」
「夕日の国」は安房直子さんの原作です。
スポーツ用品店の少年が、不思議な少女に出会うところからはじまります。
少女は「なわとびに薬をかけて飛ぶと『夕日の国』にいける」といいます。
「夕日の国」は砂漠が広がり、空にはおおきな夕日がある場所です。
マンガは白黒で描かれていますが、夕日のオレンジ色や、なわとびにかける薬の色、ラクダの落とす影の色が伝わってくるようですよ。
「夕日の国」ももの悲しさを残す作品になっています。
ただもの悲しいだけじゃなくて、なつかしさも感じるようなストーリーですね。
まとめ
カシワイさんの1作目「107号室通信」はごく短い作品を集めたものだったので、カシワイさんのストーリーものが読めてうれしかったですね。
児童文学を通してカシワイさんのやさしさに触れられる気がしてきますよ。
日本の児童文学作品のもの悲しさもいい味を出しています。
児童文学ですが大人も楽しめる作品ですね。
ぜひ読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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