なんてすてきなお話なんだろう!
と思いました。
谷和野さんのマンガ短編集「イン・ザ・ポケット」は心が洗われるような物語がいっぱいです。
2020年10月9日に発売された「イン・ザ・ポケット」を、発売日に最速レビューしてみました!
メルヘンチックだけどちょっと大人なマンガが読みたい人におすすめですね。
「イン・ザ・ポケット 谷和野よみきり集」収録作品紹介
「イン・ザ・ポケット」は全195ページ、9話の短篇が収録されています。
紙の本、電子書籍が小学館から発売されています。
イン・ザ・ポケット
ざわざわ毛糸
胸に飼う
窓税
落ち葉めくり
換毛期
流行温度
あめおり
インタビュー ザ ガールズ
近代ヨーロッパ、おとぎ話、昔話風などいろいろな舞台ですが、一貫して上品で心温まるストーリーが多いですね。
収録作品をいくつか紹介しますね
イン・ザ・ポケット
近代ヨーロッパのとある国のお話。
年頃になったリジーは子どもの頃の記憶を思い出していました。
昔、叔母のローリーが、ドレスにつけたポケットに、親指くらいに小さくなったリジーを入れて夜会に連れて行ってくれたのです。
それはただの夢だったのかもしれません。
ある日、リジーは叔母のローリーからある告白をされます。
イン・ザ・ポケット 感想・みどころ
「小さくなって叔母のドレスに忍び込んだ」なんて童話みたいですよね。
物語では大河ドラマのような長いスパンと大きいスケールでリジーの物語が描かれています。
メルヘンチックでありながら、人生の経験を感じさせる、味わい深い話ですね。
若いリジーの視点と経験を重ねた叔母のローリーの視点、どちらにも感情移入できるような作品です。
ざわざわ毛糸
小さいフラーは街に買い物に行くついでに、村の人々からの買い物も頼まれます。
フラーはサンダーばあさんが苦手でしたが、仕方なく用件を聞きました。
すると、夏の空のような青色の毛糸をひと玉頼まれました。
フラーが街から帰る途中、不思議なことがありました。
森のりすが話しかけてきたのです。
ざわざわ毛糸 感想・みどころ
このお話も、少女のフラーとサンダーばあさんの対比が面白い作品ですね。
登場する動物はリアルでありながらかわいらしいです。
まるでおとぎ話のようですが、街の手芸店のおしゃれな雰囲気や、サンダーばあさんのそっけないながらも優しい態度が、物語に大人な味わいを加えています。
本当にすてきなお話です。
あめおり
里に住んでいるりょうは、街で貰ったきれいなハギレに心奪われました。
布を織る職人を志したりょう。
「ゼイタク覚えちゃいかんよ」
りょうは、母から言われた言葉を胸に、街での新しい生活をはじめます。
あめおり 感想・みどころ
舞台は変わって、昔話風の物語です。
りょうの成長物語が朝ドラのようで、見ていて応援したくなります。
りょうの才能が開花するシーンは、「きっとマンガを描くときもこんな感じなのかなあ」と思いました。
ものづくりの創造性を感じさせますね。
魅力①メルヘンチックなのに大人向け?
谷さんのマンガは絵柄と舞台設定がメルヘンチックな雰囲気をかもしだしています。
ただメルヘンチックなだけではなくて、歴史設定や道具などディティールが細かく描かれているので大人も納得の世界観です。
また、嫌味を言われたり、恋をしたりしないとわからない言葉が出てきて、大人にも響くストーリーになってるんですよね。
魅力②大人と子供の対比が面白い!
大人のキャラクターが出てくる一方で、子供のキャラクターの描き方もすてきなんですよね。
大人ならではの含蓄のある言葉もありますが、子供の純粋さが何よりも大切というメッセージが伝わってきます。
作りこまれた世界観だからこそ、子供の純粋さが光ります。
青年少年マンガ好きは抵抗あるかも…
谷さんの絵柄は王道少女マンガ、それも大御所っぽい上品さがあります。
青年少年マンガしか読まない人にはちょっと抵抗あるかもしれません。
でも、谷さんならではの上品さやキャラクターの内面の描き方が魅力的なマンガですよ。
ぜひ一度読んでみてください。
まとめ
「イン・ザ・ポケット」はいろいろ経験した大人におすすめですね。
メルヘンチックな世界観が童心を呼び起こさせてくれるし、人生経験を感じさせる言葉にも出会うことができます。
また、人の純粋さが大切ということも気づけるようなすてきな物語になっています。
手に取りやすい価格もうれしいですね。
ぜひ読んでみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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