1巻完結,短編集

「ミノタウロスの皿」が社会派大人向けマンガである理由4選

子ども向けマンガっぽいけど不気味な作品を探してるんだけど

 

一風変わった社会派のマンガを探してるんだけど

どちらの人も、藤子・F・不二雄さんの短編集がぴったりです。

「ミノタウロスの皿」鋭い風刺がきいた作品ばかりです。

「ミノタウロスの皿」は1995年、小学館文庫より「藤子・F・不二雄[異色短編集]」の第1巻として発表されました。

「藤子・F・不二雄[異色短編集]」は全4巻ですが、電子書籍版はありません。

そのかわり全8巻の「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」には藤子先生の短編が網羅されていて、各電子書籍サービスで購入することができます。

文末に対応表をつけておきますので参考にしてみてください。

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「ミノタウロスの皿」が社会派大人向けマンガである理由4選

1.メッセージ性のある展開

2.子ども向けの表現で大人向けマンガ

3.大人向けと子ども向けとのバランス

4.一番怖いのは…

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1.メッセージ性のある展開

「ミノタウロスの皿」は不気味な一冊です。

しかし、当時の社会情勢と合わせて考えると、

藤子先生があらゆることに問題意識を持っていたことがうかがえます。

「ミノタウロスの皿」の短編が掲載されていたのは、

「ビックコミック」、「SFマガジン」、「奇想天外」など、

マンガとはいっても大人が読者の雑誌ばかりです。

当時の時事問題を取り入れたりしていて、

ちゃんとメッセージ性を持たせた話の展開になっています。

1970年代と現在

「ミノタウロスの皿」は1970年前後の高度成長期が終わりを告げるころに執筆された作品がまとめられています。

当時、都市部では人口集中が、地方では人口流出が問題になっていました。

需要もおちついて「いざなぎ景気」が終わりを迎えるころです。

そんな中、1973年にはオイルショックが起こります。

どこか今の世界と似ていると思いませんか?

現在、世界はコロナ禍戦争など非常に不安定な状況です。

また、表題作「ミノタウロスの皿」は食糧問題にも踏み込んでいます。

最近でもヴィーガンの人たちを尊重する動きや捕鯨問題など、

食べ物への倫理観が問われていますよね。

1970年前後の作品なのに、今読んでも新鮮味を感じます。

「ミノタウロスの皿」の作品群と1970年前後の関係ありそうな社会情勢をまとめてみました。

予備知識として入れているとより楽しめるかもしれません。

1968年 「猿の惑星」公開

1970年 前後女性解放運動

1971年 仮面ライダー放送開始

1972年 列島改造論と地価の上昇

1973年 ノストラダムスの大予言ブーム

2.子ども向けの表現で大人向けマンガを

「ミノタウロスの皿」はドラえもんのような子ども向けの絵柄でありながら内容は大人向けなので、違和感があって不気味です。

絵柄だけでなく、コマ割りも子ども向けのように描かれているのでより不気味ですよ。

ドラえもんの最後のオチでよく見られるのが、

違う感情を持った人物が同時に描かれているコマです。

たとえば、調子に乗ってひどい目にあったのび太くんをまわりの友達が笑っているとか、

バチにあたったジャイアンとスネ夫を

のび太くんとドラえもんがかくれて見ながら笑っているとかです。

大人向けのマンガでその表現を行うと、

複雑な感情を持った人間が同じコマにいることになります。

お互いに穏やかならぬ感情を持った人間がオチで一つのコマにいると、

終わりなのにまるでなにかがまた起こりそうで心がザワザワしませんか?

3.大人向けと子ども向けとのバランス

藤子・F・不二雄さんは1960年代後期、「ウメ星デンカ」や「21エモン」を描いていましたが、あまりヒットしませんでした。

そんな中でビックコミックに短編を掲載する話が持ち上がります。

藤子さんも「大人向けは向かない」と最初は断っていましたが、

最終的には話を受けることにしました。

そこで描いたものが表題作の「ミノタウロスの皿」でした。

「ドラえもん」がヒットした後も、藤子さんは度々短編を残しています。

大人向けの短編と子ども向けのマンガを両方描くことで、

藤子さん自身がバランスをとっていたのかもしれませんね。

「ドラえもん」などでは隠している部分が、

大人向けの短編ではあらわになっていると思うとより楽しめます。

4.一番怖いのは…

「ミノタウロスの皿」では、結局一番怖いのは人間なのではないかと感じられます。

人間は他人を常識で縛り、いがみ合い、欲望のままに行動しています。

藤子さんは作品の中で問いかけに対して答えを用意しているわけではなく、

問いを投げかけて終わっています。

考えを主張されるよりも問題提起だけで終わっているほうが

そのあと考えさせられてしまいますよね。

まとめ

1.メッセージ性のある展開

2.子ども向けの表現で大人向けマンガを描いているところ

3.藤子さんの子ども向けマンガでは見られない一面がみられる

4.人間の怖さを描いている

私が一番好きなのは「間引き」という作品ですが、一番怖いのは「ヒョンヒョロ」という話です。

「ヒョンヒョロ」はうさぎの着ぐるみみたいな宇宙人が地球にくる話なんですが、

ストーリーが理不尽すぎて怖いです。

「ミノタウロスの皿」を読むと性的な表現や残酷な表現だけが大人向け作品ではないということがわかります。

「ミノタウロスの皿」で本当の大人向けのマンガを読んでみませんか?

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

「ミノタウロスの皿 藤子・F・不二雄[異色短編集]1」収録作品と「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」各巻の対応

本書での
順番
題名PERFECT版
巻数
1オヤジロック4
2じじぬき1
3自分会議1
4間引き2
53万3千平米3
6劇画・オバQ1
7ドジ田ドジ郎の幸運1
8T・Mは絶対に…3
9ミノタウロスの皿1
10一千年後の再会3
11ヒョンヒョロ1
12わが子スーパーマン1
13コロリころげた木の根っ子2
参考:藤子・F・不二雄のSF短編一覧 ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典

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