1巻完結,短編集

高野文子「棒がいっぽん」がかわいらしくて前衛的!【漫画短編集】

かわいらしいけどちょっと変わったマンガ…

を探している人は「棒がいっぽん」がおすすめです。

「棒がいっぽん」は1995年に発売された高野文子さんのマンガ短編集です。

マガジンハウスから刊行されました。

全6編が収録されています。

棒がいっぽん 収録作品

美しき町
病気になったトモコさん
バスで四時に
私の知ってるあの子のこと
東京コロボックル
奥村さんのお茄子

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「棒がいっぽん」がかわいらしくて前衛的!

こんな内容になってます。

・昭和のノスタルジックな雰囲気が楽しめる

・斬新な構図が楽しい

・かんたんそうな絵柄が実はすごい

・超難解SF?「奥村さんのお茄子」

・作品一部紹介

昭和のノスタルジックな雰囲気が楽しめる

「棒がいっぽん」は1960年代から1980年代の日本を舞台にした話が多いですね。

手書きのバスの時刻表、レトロなネオンサインなど、昭和レトロな雰囲気がかわいらしい絵柄で描かれています。

きっとあなたも昔の暮らしに触れてみたいと思うはず!

斬新な構図が楽しい

「棒がいっぽん」の絵は構図がこっていて楽しいですね。

何でもないようなシーンでも、ちょっと上から見た構図にしてみたり、人物に極端に寄ってみたりしています。

こった構図も意味なくやっているわけではなくて、ちゃんとコマに合わせた構図になってるんですよね。

マンガのコマの大きさは形が様々です。

横長だったり、縦長だったり、台形だったり、正方形だったり。

高野さんのマンガはちゃんと縦長のコマには縦長の、横長のコマには横長の、「これしかない」っていう絵がおさまっています。

なにげなくやっているようですごいことなんですよね。

かんたんそうな絵柄が実はすごい

「棒がいっぽん」のころの高野文子さんの絵は単純化されています。

丸みがあってかわいらしい印象を受ける絵ですね。

ちょっとがんばればかき写せそうですが簡単な絵ではありません。

シンプルな線なのに微妙な表情をあらわしていたり、複雑な構図で描かれたりしています。

「かくのが大変そう」なんていうのを感じさせないところがまたすごいんですけどね。

超難解SF?「奥村さんのお茄子」

「棒がいっぽん」に収録されている「奥村さんのお茄子」という話が変わっているので別枠で紹介します。

「奥村さんのお茄子」は若い女性の姿を借りた未確認生命体(?)が44歳男性の「奥村さん」といろんな交流をするというお話です。

話をわかりやすくするなら未確認生命体に「私は宇宙人です」なんて名乗らせれば早いですよね。

しかし、「奥村さんのお茄子」に出てくる未確認生命体はそんな自己紹介はしないんです。

説明はしてくれるんですが、その説明がチンプンカンプンなんですよね。

たとえば、

「私の先輩はこの写真に写ってる醬油さしです」

そんなこと言われても「は?」って感じですよね?

「人間がものごとを理解するメカニズム自体がわかってない」っていうんですかね。

この未確認生命体はすごくおもしろいキャラクターです。

高野さんのマンガで宇宙人(?)が出てくる話はめずらしいですし、ストーリーも難解なので、すごく「気になる」作品です。

作品一部紹介

「奥村さんのお茄子」以外の作品もちょっとだけ紹介しますね。

美しき町

1960年代のある若い夫婦の話です。

団地暮らしで夫は工場勤め。

大きな事件は起こりませんがつつましく暮らしている様子が淡々と描かれています。

「ですます」調のナレーションが上品です。

構図も相まって小津安二郎の映画を彷彿とさせますね。

嫌なことや辛いことがあるだろうに文句ひとつ言わない夫婦をみていると、「美しき町」というより「美しき夫婦」といった感じです。

作中に出てくる町の風景が圧巻ですね。

構図やカメラのピントなどを考えると、写真や映像では表せない風景だとわかります。

病気になったトモコさん

小さい子どものトモコさんが町中の病院に入院している様子を描いた話です。

この作品はなんとすべて1人称視点で描かれています。

つまり、全てがトモコさんが見た光景、聞いた音で構成されているんです。

入院生活や高い場所から見る夜景などトモコさんにとってはすべてが新鮮に映ったのではないでしょうか。

「きっと大人になってもずっと覚えてるんだろうな」と思わせてくれます。

バスで四時に

バスに乗って4時にだれかの家に行く女性のとりとめのない妄想を描いた作品です。

バスの椅子に座りながら、

「椅子を固定しているネジってどのくらいの力だったら回るだろう」とか、

「前の席に座ってる人のシャツの柄がレンガみたい」とか考える様子がアニメのように描かれていておもしろいです。

作中ではバスの席に座る女性を上から描いたり、真横から描いたりしています。

マンガで見ると不自然に思いませんが、実写でやるとするとバスの上半分を切ったり横半分を切ったりしないとできない構図なんですよね。

まさにマンガでしかできない表現ですごいです。

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まとめ

「棒がいっぽん」に収録されている作品は絵柄もストーリーもかわいらしいんですよね。

登場人物の感情や構図などの表現に注目してみると2倍、3倍に楽しめますよ。

ぜひ読んでみてください。

ちなみに、電子書籍はないのでネット通販を利用してくださいね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

hontoでも探してみてください。

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