カシワイさんの「ひとりの夜にあなたと話したい10のこと」は枕元にいつも置いておきたいマンガです。
ぐっすり眠りたい人にはおすすめですよ。
こんにちは。きたはちです。
5巻以内完結のマンガや短編集をよく読んでいます。
「ひとりの夜に~」には安らかな眠りにいざなうような美しい表現がいくつもありますよ。
この記事ではその中から3つ選んで紹介します。
この本をマンガというには気が引けたので、その辺も少しだけ考察してみました。
魅力についてもまとめています。
「ひとりの夜にあなたと話したい10のこと」の表現3選!
「ひとりの夜に~」は漫画家でイラストレーターのカシワイさんの作品です。
2020年9月19日に大和書房から発売されました。
マンガで言うなら短編集ですかね。
160ページ、全12編で2つの大きなテーマにそれぞれ6編の短篇が収録されています。
「ひとりの夜に~」で美しいと思った表現を3つ紹介していきますね。
①水底に沈むクジラの骨
②洞穴で暮らしていた古代の人々を考える
③シーソーに乗って片方の空白を持ち上げる
①水底に沈むクジラの骨
さみしい夜の気持ちを、水底に沈むクジラの骨に例えた表現です。
死んでしまって骨だけになってしまったクジラをさみしい気持ちに例えるなんてロマンティックですよね。
クジラの骨が沈む深海は静かで暗いところですが、その静かさがさみしい気持ちに寄り添ってくれるような気がします。
②洞穴で暮らしていた古代の人々を考える
押し入れで眠ろうとしたとき、洞穴で暮らしていた古代の人々に思いをはせた表現です。
子供の頃は押し入れに入るとワクワクしたものです。
時空を飛び越えて洞穴までいってしまう想像力がすてきですよね。
久しぶりに押し入れに入って、外に海や砂浜が広がった洞穴を想像してみたいです。
③シーソーに乗って片方の空白を持ち上げる
誰ものっていないシーソーの片側に座った時の表現です。
シーソーの誰ものっていないほうを「空白」と呼んで、それを持ち上げるなんて本当にすてきな表現です。
かなしい夜に一人でシーソーにのる情景をよく表しています。
「ひとりの夜に~」はマンガなのか?
「ひとりの夜に~」はマンガと呼んでいいのか迷うんですよね。
コマはあるけどフキダシはなく、ト書きがあるだけです。
明確なストーリーがあるわけではないですが、絵本と言われれば絵本のような気がしてきます。
手塚治虫は”マンガは思うままに描くもの”と言っています。
漫画の「漫」は「心のおもむくまま」という意味があるみたいですから、マンガが示す意味も広いと思うんですよね。
「ひとりの夜に~」はどんなジャンルに分けていいのかわからないからこそ「マンガ」なのかもしれません。
○○なのに色がすごい!
「ひとりの夜に~」を読んでいて色づかいのすばらしさに気づいたのは、夜空の黒が真っ黒じゃなかったことです。
短編の一つに「海の皿」という一枚の青い皿についてのお話が出てきます。
そのお話に夜空のシーンが出てくるのですが、夜空が薄めの黒で描かれていて、白い文字が濃い黒でフチどりされているんです。
それによって夜空に文字が一層際立って見えるんですよね。
夜空が真っ黒じゃないので、地球にいる大気を感じるんです。
お皿の青色もきれいなんですよね。
別のページでは、ミカンが青色で表現されていました。
「ひょっとして青と黒の2色刷りなんじゃないか?」
とそこではじめて気がついたんです。
2色刷りであることも忘れさせるくらい色がきれいに表現された本なんですよね。
まとめ
「ひとりの夜に~」は言葉の一つ一つ、フォントの形、やわらかな絵、すべてが心地いいです。
枕元にいつも置いておいて寝る前に読むのにおすすめですよ。
私は電子書籍で買いましたが、色がきれいだし見開きも大きく見えるので電子書籍もまたいいです。
枕元にタブレットを置いて読みたいですね。
ぜひ読んでみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
参考:澤村修治著 日本マンガ全史(平凡社)
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