こんにちは、きたはちです。
5巻以内完結や短編集など短いマンガをこよなく愛しています。
イトイ圭さんの短編集「ナインストーリーズ」が11月30日に発売されました!おめでとうございます!
2019年に発売されたイトイ圭さんの初連載作「花と頬」はしっとりした恋愛もので1巻完結の物語。「ナインストーリーズ」も恋愛ものが多く、ちょっと大人の恋からコメディチックなものまで収録されています。中には東日本大震災への思いを感じさせるものもありますね。
「花と頬」と比べると152ページと短めでちょっと物足らなさがあります。はじめに購入するなら「花と頬」だと思います。「ナインストーリーズ」ではイトイ圭さんの恋愛観が見えるような気がして少しうれしくなります。
収録作品や短編一つ一つついての感想をネタバレしない程度に語っていきます。
「イトイ圭作品集 ナインストーリーズ」概要・収録作品
『花と頬』で注目の新鋭が放つ9本の読み切り作品で構成した初の作品集。「楽園」web増刊で発表した8本に同人誌で刊行された「ニュークスの子供たち」も収録。
イトイ圭作品集 ナインストーリーズ Amazon商品詳細ページより引用
「花と頬」は高校生同士の恋愛を丁寧にじっくりと描いた作品でした。こちらの作品集では主人公が社会人だったり、物語がファンタジーだったりします。収録作品はつぎの通りです。
①指が10本
②ペーパーバック・プレイバック
③なんにもない部屋
④バブルガム
⑤星に願いを
⑥ビター・スウィート・ビター
⑦恋するクラゲ
⑧白鷺の木
⑨ニュークスの子供たち
このうち、①②③と⑧は「花と頬」が連載された後の作品です。「『花と頬』の前と後で描き方が変わった」とあとがきにあるので、比べながら読むのもいいかもしれませんね。
「白鷺の木」と「ニュークスの子供たち」は30ページ程度の比較的長めの話で、この2つがだいたい全体の半分くらいを占めています。
指が10本
広告会社に勤める2人の男女の話です。女性の柘植は新人の広告デザイナー、男性の榊は係長。主な舞台は職場で、仕事の話しかしないんですが、急に距離が接近するのが面白いですね。
実際の職場恋愛もこんなものかもしれません。今は職場でプライベートな話はしづらいですよね。セクハラの線引きがどこまでかわかりませんし。現代的な職場恋愛の一つのかたちを見ているようで、ドラマチックだけど滑稽でもあります。
白鷺の木
男女を描いた話ではありますが、風刺的でもありますね。
ある村にやってきたノンフィクション作家と地元の女性の話。その村は公害問題が隠蔽されていました。作家は10年に渡ってその公害問題を調査することになります。
福島の原発問題を連想させるような内容です。人と人が恋をするのは美しいし、誰も何も邪魔できないとあらためて思いました。
ニュークスの子供たち
絵画教室に通う高校生、七瀬。七瀬の通う絵画教室には女性の先生、九鬼がいます。ある日、その絵画教室に阿部薫という高校2年生の女の子がやってきました。彼女はフクシマから引っ越してきたのです。
普通の恋愛ものと言うには難しい話です。原発や震災のことを自然に物語に取り込んでいますね。災害やプライベートな問題があっても、人間は恋愛するし、成長することができます。現実離れした恋愛ではなくて、「今この日本で恋愛をすること」を描いている感じがしますね。
やっぱり短い…
152ページはやっぱり短いですね。152ページに9つの短編が収録されているので一つ一つも短いです。価格も1000円近いので割高には感じます。この価格だったらもう6~70ページ増やしてほしかったなと思いました。
まとめ
「ナインストーリーズ」の感想をまとめてみました。イトイ圭さんの「花と頬」を読んでみて、もし興味があったらこちらも購入してみてください。でも、「花と頬」を読んじゃったらきっと気に入るので、こちらも必然的に購入することになりますかね?
普通の恋愛ものだけでなく、風刺的な作品もあって様々な面で楽しめます。
「ナインストーリーズ」は白泉社・楽園コミックスから発売されています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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