こんにちは。きたはちです。
5以内完結や短編集など短いマンガをこよなく愛しています
マンガ『私の彼女』の下巻が12月17日に発売されました!
南Q太さんのかわいくてオシャレな絵柄で女性小説家と不思議な女の子との恋愛を描いています。サスペンス要素もあり、大人の円熟味のある作品ですね。持っておいて損はないマンガです。
作品の内容や魅力について語っていきますので、気になる方はこの先を読んでみてください。
『私の彼女』 概要
小説家の金森ユウは、母の自死を題材にした小説を出版した。それが賞をもらい、話題となり、サイン会を開くまでになった。その帰り道、ユウは不思議な女の子・エルに出会う。しかし、ユウはその後から、小説が書けなくなってしまい、苦しむ。そんな彼女を励まし、支えてくれたエルと徐々に距離が縮まり親しくなっていくが――!? 見逃せない南Q太の新境地!
『私の彼女』(上) Amazon商品詳細ページより
フランスの作家・デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説『デルフィーヌの友情』を原作に、舞台を日本に移した作品です。
南Q太さんの作品をはじめて読んだのはコミックキューでした。90年代から2000年代にかけて刊行されていたコミックキュー。男性も女性も関係なく、前衛的な作家さんが寄稿していたマンガ雑誌です。南Q太さんのかわいらしくてオシャレな絵が好きでした。
『私の彼女』は南Q太さんがはじめて海外の小説を原作に描いた意欲作。かわいくてオシャレなだけではない、深みのある作品ですね。
小説家のユウと不思議な女性・エルとの女性同士の恋愛ものと思いきや、ユウはだんだんと精神を病み、サスペンス的な展開をみせるストーリーです。
主な登場人物
金森ユウ
小説家。母の自死を題材にした小説がヒット。離婚を経験し、母と娘で暮らしてきた。最近、大学生になった娘のスウが一人暮らしをするために家を出て行ったばかり。
エル
自分のことを『僕』と呼ぶショートカットの女の子。タレント本などのゴーストライターをしている。
魅力①恋愛かサスペンスかわからないストーリー!
途中までユウとエルの恋愛ものとしか感じなかったんですよね。
不穏な空気が本当に静かに迫ってくるので、その不穏さに気づかない不思議な物語です。サスペンスと言っていいのかもわかりません。
ストーリーを作っている人の存在を感じないというんですかね。「最初の展開はこうしてクライマックスに向けて徐々に盛り上げて…」なんていう作為性がないんですよね。様々な謎もミステリーのような見どころがあります。
魅力②ユウの描写が秀逸!
ユウの描写がいいですね。
ユウは様々な要因が重なって、精神的なバランスを崩してしまいます。しかし、ユウは冷静な心を忘れず、何とか自分を保とうとするのがすごいですね。若い主人公だったらこうはいかないですよね。子どもを育てて、自立した大人としてやってきた強さを感じます。
原作小説の『デルフィーヌの友情』は、まるで作者のヴィガンさん自身が経験したかのような形式で描かれています。ヴィガンさん自身もユウと同じように母の自死をテーマにした小説を残しています。
そういえば、南Q太さんとユウも外見的な特徴がなんとなく似ているような気がします。南Q太さんも主人公のユウに自分を投影していたのではないでしょうか。
ユウが葛藤しながら問題に立ち向かう様子は、大人が窮地に立たされたとき、どんな風に乗り切ればいいかを示してくれているような気がします。
魅力③かわいいのに怖いエル!
なんといっても魅力的なのが謎の多いエルです。
ショートカットでボーイッシュで無邪気。目が真ん丸でかわいらしい。優しくていつもユウの味方になってくれる。でも、不意に暴力的になったり、奇行に走ったりします。ある種、病的ともいえる性格です。
一般的に、病的なキャラクターは最初から病的なパターンと、途中から豹変するパターンがありますよね。エルはちょうど後者のパターンです。しかし、その豹変が不自然ではないんですよね。バックグラウンドがあって、病的になってしまう理由がちゃんと納得できます。ただ、豹変してしまうとは思えない健康的でかわいらしいビジュアルなので、その意外性が際立ちます。
エルのキャラクターは、ヴィガンさんのストーリーと南さんのかわいらしい絵がちょうど合わさって完成しているように思います。
謎が多すぎる…?
『私の彼女』は多くの謎を残し、読者に答えをゆだねるような部分もあります。
結局どうなったのか気になるところもあるので、「はっきりさせてほしい」という人にはもどかしいかもしれません。しかし、逆に言えば考察の余地があるとも言えます。どうなったのか自分なりの答えを考えるのもこの作品の楽しみですよ?
まとめ
『私の彼女』は謎に満ちたストーリーとかわいらしくてオシャレな南Q太さんの絵が魅力的です。サスペンスなのにしっとりと読める大人なストーリーですね。ぜひ読んでみてくださいね。
『私の彼女』は上下巻が双葉社・ジュールコミックスから発売されています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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