1巻完結,短編集

町田洋「惑星9の休日」は癒されるSF漫画短編集

SFでもあるけどちょっとノスタルジックなマンガ読みたいな

という人には「惑星9の休日」がおすすめですよ。

「惑星9の休日」は2013年、祥伝社から発売された町田洋さんのマンガ短編集です。

町田洋さんは別の短編集、「夜とコンクリート」の収録作品「夏休みの町」で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞しています。

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町田洋「惑星9の休日」は癒されるSF漫画短編集!?

・直線的な線

・ストーリー

・「惑星9」

・名前がない登場人物

直線的な線

町田洋さんの絵は直線的な線が印象的です。

人物の顔も髪の毛もほぼ直線で描かれています。

男性キャラクターの顔は独特で80年代風のイラストを思わせます。

無機質ですがどこか懐かしい感じがします。

ストーリー

「惑星9の休日」は「惑星9」という砂漠の星を舞台とした短編集です。

惑星9という舞台は一緒ですが、それぞれのお話は独立しています。

それぞれのストーリーはわりと分かりやすく起承転結があるショートショートのようになっています。

「惑星9」という無機質な星を舞台にしているせいか、静かな印象を受けます。

静かな物語の中に、大人の恋であったり、大人ならではの哲学であったりがこめられていて

しっとりと読める作品です。

「惑星9」

「惑星9」は砂漠のような星で気温は暖かいようです。

乾いた感じと気だるい感じはなんとなく映画「バグダッドカフェ」を思わせます。

「バグダッドカフェ」はアメリカ・ラスベガスに近いモハーベ砂漠を舞台にしています。

「惑星9の休日」もどこか異国のような登場人物が出てきます。

アメリカンな要素とSFチックな要素を掛け合わせたような独特の雰囲気が出ています。

名前がない登場人物

「惑星9の休日」の登場人物には名前がありません。

登場人物が名前で呼ばれることがないのです。

設定上は名前があるんでしょうが、あえて名前を登場させていないんだと思います。

「惑星9という星にある男がいてね…」

初老のオシャレなおじさんからそんな語り口で語りかけられてるような感じがします。

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「惑星9の休日」収録作品紹介

「惑星9の休日」に収録されている作品は全8編です。

・惑星9の休日

・UTOPIA

・玉虫色の男

・衛星の夜

・それはどこかへ行った

・とある散歩者の夢想

・午後二時、横断歩道の上で

・灯

そのうち3つの作品をちょっとだけ紹介していきます。

惑星9の休日

表題作「惑星9の休日」は惑星9で数百年前に一瞬にして凍り付いてしまった町を舞台にしています。

陽の光が永遠に届かない「永久影」では、

建物はおろか、人間も一瞬にして凍り付き、数百年前の姿のまま止まっています。

ある作家は「永久影」で止まったままの美しい女性に恋をしていました。

「永久影」で止まってしまった人は、

「永久影」から出てしまうとたちまち砂になってしまいます。

ある作家の叶うはずのない恋を描いています。

数百年前の人に恋をするなんてロマンチックですよね。

止まったまま動かない女性は暗喩だと思います。

あなたにも忘れられない人っていませんか?

叶わない恋、叶わなかった恋の象徴が止まったまま動かない女性です。

その人はもうどこにもいません。

記憶の中で止まったままの人は記憶の中にしかいないんですよね。

せつない物語です。

「惑星9の休日」は祥伝社のホームページから無料で読むことができます。

惑星9の休日

UTOPIA

「UTOPIA」は「ユートピア」という幻の映画のフィルムをめぐるストーリーです。

ある広い映画倉庫でボヤをおこしてしまった青年は、

その倉庫を管理するおじいさんからフィルムの整理を手伝うよう頼まれます。

ですが、片付け中に倉庫の扉が壊れて開かなくなり、青年とおじいさんは閉じ込められてしまいます。

夜になってようやく外から扉が開けられました。

そこにはスーツ姿の2人組の男たちの姿がありました。

しかし、2人組は「ユートピア」のフィルムを狙う強盗だったのです。

不躾な青年とのんびりとしたおじいさんとの交流にほっこりする作品です。

おじいさんは倉庫にある映画を全部見ています。

青年にどの映画がおもしろいか聞かれますが、

おじいさんは「どの映画もいいところがあっておもしろい」と答えます。

なんでもおもしろいと思える人って素敵だなと思いませんか?

それはどこかへ行った

「それはどこかへ行った」は未亡人の女性に恋する科学者を描いた作品です。

女性の亡くなった夫は芸術家でした。

彼女の家のそばには愉快なポーズをとった人型の彫刻がたくさん残されていました。

科学者に対して、女性はいつも気だるそうに対応します。

亡くなった夫が忘れられないのです。

「それはどこかへ行った」はシンプルな恋物語なのですが、

科学者の発明した「重力制限装置」が物語に関わっていきます。

少しSFチックでおもしろいです。

まとめ

「惑星9の休日」はSFなのに癒されるちょっと不思議なマンガです。

それは作品の舞台やストーリーがノスタルジックなアメリカを舞台にした映画を思わせるからだと思います。

現実離れしているけどどこか懐かしい「惑星9の休日」にあなたも旅立ってみませんか?

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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