
どうもこんにちはきたはちです。
5巻以内完結や短編集など短いマンガをこよなく愛しています。
このブログではおもに短くてサクッと読める新刊マンガの感想をお伝えしています。どうぞよろしくお願いします。
5月28日に『戦争×漫画 1970-2020』が発売されました!おめでとうございます!
戦後70年を機に刊行されたビックコミックオリジナル増刊号をもとに編集されたコミックアンソロジー。水木しげるさんや浅野いにおさんなど名だたる漫画家の作品が収録されています。
戦争の残酷さ、虚無感を描いたものもあれば、戦争を直接的には描いていない作品もあります。漫画家によってさまざまな描き方があるのがおもしろい一冊です。
今の時代に戦争に思いをはせることとは何かを考えられました。
『戦争×漫画 1970-2020』ってどんなマンガ?
漫画家たちの「戦争」アンソロジー
漫画家の感性が「未来の戦争」の予感を、戦時への想像力で捉えた作品を集め話題を呼んだ「ビッグコミックオリジナル戦後70周年増刊号」を底本に再編集し、追加原稿も多数収録した増補愛蔵版アンソロジー。
排外主義と非寛容。世界全体を覆うきな臭さは、すでに新しい「質」の戦争が起きているとも考えられる。
漫画家の想像力は果たして「戦争」をどう表現するのか。
水木しげる、山上たつひこから浅野いにおまで異才・鬼才・天才……日本を代表する漫画界の傑物たちの描く「戦争」。小説家等の寄稿も多数収録。角田光代の「漫画の自由さと豊富さ」と題する書き下ろしも収録。
『戦争×漫画 1970-2020』Amazon詳細ページより
ぼくは戦争ものの映画とか朝ドラの戦争のシーンとかをあまり好んで観ることはありません。
単純に残酷なシーンとか悲しいシーンとかが好きじゃないんですよね。
ただ、戦争については忘れないようにしなければならないし、伝えついでいかないといけないなという思いはあります。
この一冊は、残酷で悲しい戦争を描いただけでなく、わたしたちの生活に隠された戦争やファンタジーにおける戦争などさまざまな戦争が描かれています。
その中で気になった話を紹介したいと思います。
浅野いにお『きのこたけのこ』
学生運動のシーンからはじまるので、1960年代の日本の話かと思いますが、すぐにそれが違うのだとわかります。
ポップでかわいらしい絵柄なのにグロテスクなシーンが出てきたりと、浅野いにおさんならではの戦争を描いています。
今の平和な日本も、一歩間違えれば戦争の悲惨さを再びくりかえしてしまうかもしれないという予感を感じさせます。
石坂啓『さよなら憲ちゃん』
OLの丸子は合コンでシンちゃんという男性に出会います。
しかし、丸子には憲ちゃんという夫がいました。
憲ちゃんは家事もこなすやさしい夫。そんな憲ちゃんとは対照的なシンちゃん。
丸子はなかば強引なシンちゃんにひかれていきます。
女性らしいやさしい絵柄でほんわかした話と思いきや、意外な展開にびっくりさせられました。一見、戦争とは関係なさそうな話ですが、日常にも戦争のような無情さがひそむことがわかります。
さまざまな漫画家の作品が読める!
この一冊では、水木しげる、滝田ゆう、三島衛里子など、戦争を描いてきた漫画家の作品が読めます。
一方で、浅野いにお、くれよんカンパニーなど、今まで戦争のイメージがなかった漫画家、新鋭の漫画家の作品も収録されています。
ぼくはこの本を読んで、ひめゆりの塔の展示がリニューアルしたニュースが頭に浮かびました。
かつてのひめゆりの塔の展示は戦争の悲惨さを伝えるものでしたが、今回のリニューアルによってひめゆり学徒隊の笑顔の写真があらたに展示されるようになったのです。
そこには、今の若い世代と同じ若者たちが戦争の時代にも生きていたことを感じられるようにとの意図があるようです。時代に合わせて戦争の伝えかたも変わっていく。それと同じようなことが、この一冊につまっているような気がします。
ちょっと高い…
400ページ超でエッセイなども収録されているとはいえ、マンガに2,200円はちょっと高すぎるような気はします。しかし、「あ~、おもしろかった」では終わらないマンガという意味で価値ある一冊だと思います。
まとめ
というわけで今回は以上です。
『戦争×漫画 1970-2020』は小学館から発売されています。今の時代にひびくような戦争をテーマにした作品集です。ぜひ読んでみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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