町田洋さんの『砂の都』がよいので、まだ読んでないあなたは読みましょう。
こんにちは。きたはちです。
短い漫画ばっかり読んでいます。
今回は町田洋さんの『砂の都』を紹介します。
『砂の都』ってどんな漫画?
「すぐに忘れてしまうことと、どうしても忘れられないことの違いってなんだろう」。これは不思議な砂漠の孤島に生きる人々の「記憶」と「建物」を巡る物語。漫画界大注目の俊英・町田洋(『惑星9の休日』、『夜とコンクリート』)が贈る、ロマンティック・デザート・ストーリー!
『砂の都』Amazon詳細ページより
砂漠を移動する「砂の都」が舞台。
建物が全て砂でできていて、人の思い出をもとに建物ができて、人がいなくなると建物もくずれる。
そんな町に暮らす青年がある日1人の少女と出会います。
暑いけど、かわいている。
だからこそ水がありがたい。
この作品は砂漠で出会うオアシスのような一冊です。
登場人物
登場人物を紹介します。名前がないので全て仮名です。
青年
本編の主人公。マイペースで感情を表に出さないタイプ。修理屋のお爺さんのところで働いている。
メガネ
青年の友達。メガネと麦わら帽子がトレードマーク。現実主義的だけどユーモラス。
女
女というより少女。町に新しい建物ができるといつも見に来ていて青年が気にかけている。
#1オアシス
おい 早く水着持って斜面側に来い
町田洋『砂の都』より
町がオアシスのそばを通るぞ
砂漠を移動する砂の町に住む青年。
新しい建物ができるといつも見に来る少女。
2人が出会ってまもなく、砂の町がオアシスに近づきます。
約2年ぶりのオアシス。
マイペースでどこか冷めた青年。
久しぶりのオアシスを目の前に彼はどうするのか?
初の長編作品!
町田洋さんはこれまで2つの短編集を出していますが、長編作品はこれが初めて。
町田さんの作風と砂の町という設定がよくマッチしています。
名前がないから仲が良い?
その女は
町田洋『砂の都』より
町に 新しい建物ができると
いつも見に来ていて
気になるのだった
この作品には登場人物の名前がでてきません。
きっとそれぞれ名前があるんでしょうが、名前がでてこなくてもなぜか成立するんです。
登場人物が仲良さそうなのは名前で呼びあわないからかも?
無機質だけどあたたかい砂の都
首都にあった野外コンサートホールだ・・・
町田洋『砂の都』より
チェロ奏者だったお爺さんの記憶でできたコンサートホール。
円形の野外コンサートホール。夜空の下の演奏会は心に残るシーンでした。
白くて大きな建物は無機質だけど、なぜかあたたかみを感じます。
昼と夜 光と影
『砂の都』は砂漠を舞台にしているので、空も背景の建物も白でえがかれています。
それが日が傾いてくると、長くなった影がトーンで表され、夜になると建物の白と空の黒のコントラストが描かれます。
シンプルな絵柄だから日差しのあるかわいた空気感や夜のひっそりとした静寂が伝わってきます。
心に残る言葉
歳を取るから失うんじゃないな・・・
町田洋『砂の都』より
失うから歳を取る・・・
砂の建物は人の記憶からなくなるとくずれていきます。
このセリフから砂の建物のはかなさが命のはかなさと重なって感じられました。
幻想的な風景の中に、心に残るセリフがたくさんちりばめられています。
人の気持ちもはかない
みんな忘れてしまうのかしら
町田洋『砂の都』より
今の気持ちを何もかも
人の記憶も心もとないですが、人の気持ちもすぐに変わってしまう。
あんなに好きだったものが今はもうそれほどでもない。
人間の「心変わり」についてもはかなさを感じさせます。
まとめ
『砂の都』は町田洋さんの作品。
初の長編作品で砂の町の世界観と町田洋さんの作風が非常にマッチしています。
喪失や無常観を感じる中で、あなたのオアシスになるような作品です。
ぜひ読んでみてください。
コメント