こんにちは、きたはちです。
5巻以内完結や短編集など短いマンガをよく読んでいます。
いがらしみきおさんのマンガ『ふつうのきもち』が12月17日に発売されました!おめでとうございます!
小学生のヒロくんの目線を通じてみえる世界。子どものころに感じていた気持ちを思い起こさせます。
終盤はコロナウィルスが流行した後の話。コロナが蔓延してもたくましく生きるヒロくんたちの姿が描かれます。
大人にも子どもにもおすすめできる傑作ですね。ぜひ購入してください。
内容や魅力について詳しく紹介しますので気になる人はこの先まで読んでくださいね。
『ふつうのきもち』概要
「少年の心象風景を描こうと思ったんですが、こんなにむずかしいとは思いませんでした。今までで一番苦しんだ作品かもしれません」とは著者の談。webアクション連載中にコロナ禍となり、主人公ヒロくんもその渦中に。たいせつな「ふつうのこと」がとても心に沁みる巨匠いがらしみきおの意欲作です。
『ふつうのきもち』 Amazon商品詳細ページより
小学生のヒロくんが感じたことが絵日記のようにつづられたストーリー。かわいらしい世界観は本当にヒロくんが見た景色をそのまま絵にしているように感じます。
作者のいがらしみきおさんは『ぼのぼの』や『羊の木』などの作品を発表してきた大ベテラン。とても60代のおじさんが描いたとは思えない生き生きとした感性で小学生を描いています。近年はシリアスな大人向けの作品を多く発表していますが、本作『ふつうのきもち』は小さいお子さんでも安心して読める作品だと思います。
一話あたり8ページ、全20話で176ページです。
魅力①現代を描いているのにノスタルジック!
『ふつうのきもち』はノスタルジックですが、作者のいがらしさんの幼少期を描いたというわけではなく、現代の日本のある町に生きる小学生を主人公にしています。
「死んだらどうなるんだろう」
「ヤモリは一人でどうやって生きているんだろう」
「自分の名前は本当の自分の名前じゃないような気がしてくる」
など、子どものころに一度は思ったことのあるようなことを描いています。思い出そうと思っても思い出せないあの頃の気持ち。しかし、あくまで舞台は現代です。日本のどこかにヒロくんのような子どもが生きていると思うと愛おしくなります。
魅力②コロナ禍を見事に描いている!
webアクションで連載中にコロナ禍になり、物語もコロナが流行した世界が描かれています。
しかし、ただ暗く重苦しく描かれているのではなく、子どもの無邪気な目線も交えているので軽やかに読むことができますね。「子どもってたくましいなあ」と感じます。
いつ終わるかわからないコロナ禍を暗く描いたら不安をあおってしまう。明るさを交えながらも、コロナの恐ろしさは伝えなければいけない。そんな創作界を取り巻くジレンマの中で、『ふつうのきもち』は、現代が舞台で、日常を描いていて、フィクションだったからこそ、コロナ禍の世界を上手く表現できたように思えます。「どこにもないけど、こういう風に生きられるかもしれない」。コロナでも「ふつう」を忘れずに生きられる世界を示してくれている作品です。
魅力③絵が「かわいい」だけじゃない!
『ふつうのきもち』の絵はかわいらしいですが、いがらしさんの代表作、『ぼのぼの』の絵とも少し違います。
主人公のヒロくんの顔は丸と三角だけでできていて、ラクガキみたいです。虫や花もデフォルメされていてかわいい。
でも、ヒロくんのお父さんやお母さんは等身が高く描かれていて比較的リアルです。風景もあたたかみを残しつつしっかりと描きこまれています。
子供だましではなくて、「子どもの目線から見たリアルな世界」が表現されているように思えます。かわいいけど現実味が迫ってきますね。
最初からスズメが…
第一話目からいきなり主人公のヒロくんが死んだスズメを持ち帰る話なんですよね。
「うげっ」と思うかもしれませんが、この死んだスズメは主人公のヒロくんが「死」について考える重要な要素になっています。ちゃんと意味があるんですよ。
スズメを乗り越えればあとはセミが死んでいるところがあるくらいで、総じてかわいらしい話なので安心してくださいね。
まとめ
『ふつうのきもち』は基本的にはノスタルジック。子どもの頃を思い出させるようなストーリーですが、終盤ではコロナ禍を描いています。ほっとしながら読めるけど、しっかり現実も描いた名作です。ぜひ読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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