1巻完結,短編集

『レミドラシソ 鶴谷香央理短編集 2007-2015』どんな漫画?

『レミドラシソ 鶴谷香央理短編集 2007-2015』(以下、『レミドラシソ』)が1月9日、同じく鶴谷さんのマンガ『メタモルフォーゼの縁側』5巻と同時に発売されました!おめでとうございます!
この記事では、『レミドラシソ』の内容をネタバレしない程度に紹介するとともに、ぼくの個人的な感想、作品の魅力を伝えていきます。

『メタモルフォーゼの縁側』についてはこちらの記事をご覧ください。

完結!『メタモルフォーゼの縁側』を考察!どんな漫画?
『メタモルフォーゼの縁側』、完結となる5巻が発売されました!おめでとうございます!『メタモルフォーゼの縁側』は鶴谷香央理さんのマンガで、実写映画化も決まった話題作です。どんなマンガなのか、どういう構造になっているのか考察したりしながら魅力を紹介します!世代の離れた友情だけが魅力じゃないですよ!

結論からいうと、このマンガ、「買い」です!

短編集『レミドラシソ』から読んでも、 『メタモルフォーゼの縁側』から読んでもこれらの作品はきっとあなたを満足させてくれるでしょう。

漫画家さんの作品は、「この作品から読んだほうがいい」というものがありがちですが、この2つの作品はそれぞれ違う面白さがあります。

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『レミドラシソ 鶴谷香央理短編集 2007-2015』概要

『レミドラシソ』の収録作品はつぎの通りです。

吹奏楽部の白井君

おおきな台所

ル・ネ

「あれ?3つだけ?少ない…」

と思うかもしれませんが、『吹奏楽部の白井君』と『おおきな台所』は連作短編になっています。全体としても193ページあるので決して短くはありません。

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『吹奏楽部の白井君』

高校の吹奏楽部の話。少し個性的な白井君と白井君のことがちょっとだけ気になっている安達さんを描いています。

全5話ですが、2.5話というのが含まれているので正確には全部で6話ですかね。1話ごとの長さも3ページから19ページとバラバラです。

『吹奏楽部の白井君』感想

電子書籍ではこの『吹奏楽部の白井君』だけが試し読みできるのですが、ぼくは正直、「大丈夫かな?」と思ってしまいました。

というのは、鶴谷さんの作品『メタモルフォーゼの縁側』に比べると、線が太くて絵が単純だったからです。そして、吹き出しの字も手書き。

「これって、初期の作品で、鶴谷さんもまだあまり画力がない頃なんじゃないかな」

と思ってしまったんですよね。

しかし、それはいらない心配でした。

『吹奏楽部の白井君』は緩やかでほっこりする話。太めの線も、少なめのトーンも高校生の日常の雰囲気に上手く合っています。

吹奏学部にしかわからないような知識があって感心させられますね。作者の鶴谷さんも吹奏楽部だったんでしょうか。もしそうじゃなかったら驚くべき取材力です。

派手な笑いどころがあるわけじゃないですが、同じ吹奏楽部の2人が共感できる瞬間が微笑ましく感じられる作品です。

『おおきな台所』

作者の鶴谷さんの幼少期を実話に近いかたちで描いた連作短編です。

鶴谷さんのデビュー作であり、この作品で第52回ちばてつや賞準大賞を受賞しています。

全9話で、うち4話はそれぞれ12ページ、5話はそれぞれ6ページ。全部で78ページのお話になっています。

『おおきな台所』感想

子どものころの思い出をかわいらしく描いた作品ですね。

作者自身の幼少期を描いたマンガは他にもありますが、この作品は鶴谷さんの妹さんとの思い出になっていて、妹さんがいい味を出しています。

1人だけの思い出ではなく2人の思い出なので、自分だけの世界というよりも「子どもたちの世界」という感じですね。

お箸でつかんだごはんが飛行機に見えたり、踊っているかつお節が人のように見えたり。自分だけがそう見えたのではなくて、妹も同じ世界が見えているようです。

「おばあちゃんの家に行ったとき、どんなふうに感じたかな?」

なんて、誰もが自分の子どものころに思いをはせるのではないでしょうか。

『ル・ネ』

約30ページの短編。香水の調香師を父に持つ女子高生・の物語です。優はある日、古文の非常勤講師・佐野からある香水について相談を受けます。

『ル・ネ』感想

他の作品に比べるとセンチメンタルな物語で、絵柄も少女マンガ寄りになっています。香水に関する知識も興味深いです。

少女マンガと青年マンガの中間にあるような面白い作品でした。結構好きです。

ちょっと高い?

定価1210円なのでマンガ1冊にしては結構高いと感じる人もいるんじゃないかと思います。

だいたい200ページなのでボリューム的には適切な価格なんじゃないでしょうか。

『メタモルフォーゼの縁側』が好きな人なら満足できる短編集です。鶴谷さんのふわふわした雰囲気は出ている作品なので、短編集を読んでから『メタモルフォーゼの縁側』の購入を考えてみるのもいいかもしれません。

また、短編集だけ持っているというのも、『メタモルフォーゼ』だけ持っているというのも、どちらもアリだと思います。出版社さんや作者さん的にはどちらも読んでほしいでしょうけどね。

まとめ

『レミドラシソ』は鶴谷さんの初期の作品もありますが、鶴谷さん独特のやわらかく優しい雰囲気のある話ばかりで満足度の高い短編集だと思います。吹奏楽部や香水についての知識も興味深くて面白いですね。『メタモルフォーゼの縁側』にもコミティアの裏側が描かれているので、知られざる知識を描くのも鶴谷さんの作品の特徴なのかもしれません。

『レミドラシソ』はKADOKAWAから発売されています。ぜひ読んでみてくださいね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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