1巻完結,短編集

「ねぇ、ママ」お母さんに伝えたいマンガ短編集の魅力7つ

お母さんを描いたいいマンガないかな

という人は「ねぇ、ママ」を読んでみてはいかがですか?

お母さんたちにとってはすり減った気持ちをやさしくつつんでくれそうな作品になっています。

お母さんじゃない人も、お母さんの気持ちが少しわかるかもしれませんよ。

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「ねぇ、ママ」の魅力7つ

1.時代をとらえた登場人物

2.愛を感じるストーリー

3.余白

4.やわらかな質感

5.アニメーションのような演出

6.ドキッとする感情表現

7.角の立たないコミュニケーション

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概要

「ねぇ、ママ」池辺葵さんのマンガ短編集で、2018年に第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した作品です。

月刊「エレガンスイブ」(秋田書店)に掲載された作品に描き下ろしを加え、2017年に発売されました。

池辺さんは2009年にマンガ家デビューし、長編を含めて今まで7作を発表しています。

そのうち、処女作「縫い裁つ人」は中谷美紀さん主演で実写映画化され、

長編「プリンセスメゾン」はNHKBSプレミアムでドラマ化されました。

1.時代をとらえた登場人物

ひきこもりの高校生、母子家庭、ネグレクト。

「ねぇ、ママ」の登場人物は現代社会に暮らす人たちに通じる家族環境の中にいます。

物語の中では彼ら彼女らの状況がすぐによくなるわけではありません。

一つの家族のかたちとして描かれています。

淡々と進んでいくストーリーの中で、

幸せはどんな状況でも人のそばにあるということに気づかされます。

2.愛を感じるストーリー

「ねぇ、ママ」の短編はどれも母をテーマにした作品ですが

ただただ「お母さんありがとう」というような物語ではないところにこの作品の味わいがあります。

引きこもりの息子が旅に出る「stand up」という話では、

あえて言葉にしないことで、母と子の心の通い合いを表現しています。

やさしいからこそ言えない気持ちや、

言葉にするだけがやさしさではないことが伝わってきます。

3.余白

マンガで白いところが多いとどうしても気になりがちです。

通常、マンガを描くときには白いところと黒いところが同じくらいのバランスで描くとよいといわれています。

「ねぇ、ママ」では白い余白が多いですが、それが気になりません。

それは余白で感情をあらわしているからだと思います。

登場人物のさびしい気持ち、明るい希望、思わぬ衝撃。

それらの感情を真っ白な余白で表現しています。

削ぎ落した表現に美しさを感じます。

4.やわらかな質感

「ねぇ、ママ」で出てくる髪の毛や布はふわふわしているように感じます。

それはいくつもの細かい線で描かれているからです。

普通はベタ塗りといって黒一色で塗りつぶしてしまうようなところも、

細かい線をいくつも重ねて描かれています。

顔のラインは途切れ途切れになってアゴもあまりはっきりえがかれていません。

髪の毛や布だけでなく、顔すらやわらかく感じます。

それは、作品全体の柔らかさも表現しているようです。

5.アニメーションのような演出

「ねぇ、ママ」はアニメーションのようです。

それは、音をあらわす描き文字があまりなく映画のようなカット割りをしているからです。

どれも静かな物語なので少しでも動きがあるとそこから音が出てきそうな感じがあります。

加えて、髪や布の柔らかそうな質感は、少しの風でもふわりとなびいて動きそうです。

バトルマンガの躍動感とは別の「いまにも動き出しそうな感じ」があらわれています。

コマの中でやさしく動くマンガです。

6.ドキッとする感情表現

「ねぇ、ママ」にはたまにドキッとするような感情表現が出てきます。

涙を流して大声で泣いたりするシーンではなく、

一瞬の表情で感情の大きな動きが伝わります。

も効果的に使われています。

登場人物が何かを受けて反応するその一瞬を、無言の一コマを挟むことによって表現しています。

ゆっくり丁寧に感情の動きが描かれています。

表情も魅力的です。

わかりやすい感情表現を使わないことで行間が生まれて、

読者に「この登場人物は今どんな感情なんだろう」

と想像させてくれます。

静かな物語の中で、ときおり波が立つことで一層感情の高まりが際立ちます。

7.角の立たないコミュニケーション

人と人がコミュニケーションするにあたって、

どうしても攻撃的に感じることは避けられません。

「ねぇ、ママ」にも角が立ちそうな瞬間が出てきますが、

ちゃんと助け舟があらわれて、それ以上の衝突は起こりません。

やさしさを感じるとともに、自分もこうあろうと思わせてくれます。

まとめ

「ねぇ、ママ」は絵柄にも表れているようにやさしいマンガです。

ただやさしいだけでなく心にできた傷を癒してくれるようなやさしさです。

当たり障りのないことを語っておためごかしにはせず、

傷ついた心に寄り添いながら癒してくれるようなマンガです。

みなさんも「ねぇ、ママ」を読めば、毎日当たり前にお母さんをやってくれる人にありがとうを言わなきゃなと感じるはずです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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