がんばってるのに報われない
なんて思うことありませんか?
戸田誠二さんの「スキエンティア」を読んでみてください。
日常のちょっとしたことが幸せに感じるかもしれませんよ。
「スキエンティア」がんばる大人へ送るSFマンガ短編集とは?
こんな内容になってます。
・「スキエンティア」概要
・絶望が希望にかわるかも?
・「科学の力をいい方向に使ったら?」
・作品一部紹介
・本当はそんな技術のない世界で
「スキエンティア」概要
「スキエンティア」は2010年に小学館ビックスピリッツコミックススペシャルから発売された戸田誠二さんのSF短編集です。
全7編でオムニバス形式になっています。
現代より少し未来、高層ビル・スキエンティアタワーが建設されて1年後が舞台。
「スキエンティア」とはラテン語で科学という意味。
スキエンティアタワーの頂上には架空の女神・スキエンティアの像が掲げられています。
タワーの中には時代をリードする一流企業や大富豪の居住スペースなどがあります。
「科学の女神・スキエンティアは人間が科学技術におごることのないよう今日も天空から見つめています」
冒頭、テレビからはそんな言葉が流れてきます。
絶望が希望にかわるかも?
「スキエンティア」の短編に出てくる主人公たちは過酷な人生を歩んでいます。
余命数年。天涯孤独。うつ病。
そんな主人公たちでも人生に希望がもてるようになるなんてよほどのことがないと無理ですよね。
「スキエンティア」ではそんな「よほどのこと」が主人公たちに起こります。
「科学の力をいい方向に使ったら?」
「スキエンティア」は「科学の力をいい方向に使ったら?」というお話になっています。
SF短編のパターンとして「超常的な力を誤った方向に使ってしまったら?」という展開ならよくありますよね?
ドラえもんとか笑ゥセールスマンとかがわかりやすいでしょうか。
ふしぎな道具があったとして、最初は正しいことに使おうとするけど、つい魔が差して悪いことに使ってしまい罰が当たってしまうという展開です。
「スキエンティア」に収録されているお話では科学の力がちゃんと正しい方向に使われているんですよね。
「すごい技術があっても正しいことに使われればきっと人間にとっていい方向に働く」
そんなポジティブなパワーをもらえる話ばかりです。
作品一部紹介
「スキエンティア」に収録されている短編を一部紹介していきますね。
ボディレンタル
スキエンティアタワーが誕生1周年を迎えた日、香織は自殺を考えていました。
香織の親も恋人もろくな人ではありませんでした。
夢も希望もない孤独な人生。
香織はネットで「自殺願望者募集」の文字を見つけます。
内容は「全身マヒの女性の医学的サポート」。
なかば自暴自棄な気持ちで面接に行くとそこには1人の老婆がいました。
老婆は「香織の身体をレンタルしたい」ともちかけてきたのです。
「ボディレンタル」は「世にも奇妙な物語2008秋の特別編」で内田有紀さん主演で映像化されています。
あなたはもし「身体を貸してほしい」と言われたらどうしますか?
「ボディレンタル」を読むと「人に身体を貸すのも案外悪いものじゃないかもしれない」と思うかもしれません。
「世にも奇妙な物語」は動画配信されていないようなのでDVDでチェックしてみてくださいね。
ロボット
石田は悪性の腫瘍がみつかり余命数年。
入院はせず、自宅で最期を迎えることに決めました。
そこで介護用ロボット(アンドロイド)に看取ってもらうことにしたのです。
しかし、このロボットはまだ複雑な会話ができません。
はたしてロボットは石田にやすらぎを与えることはできるのでしょうか。
現実でも、ロボットが介護や看取りができるようになれば、きっと利用が進むことでしょう。
でも、ロボットに人間の気持ちを分かってもらえるかどうかはわかりません。
ロボットの気持ちはわかりませんからね。
でも「ロボット」を読めば「こんなロボットだったら最期を看取ってほしい」ときっと思うはず!
本当はそんな技術はない世界で
「スキエンティア」の世界ぐらいに技術が発達していれば、人生が少しラクになるかもしれません。
でも、実際は身体の交換なんてできないし、介護用ロボットだって想像の世界にくらべたらまだお粗末なものです。
「スキエンティア」には「そんな技術がまだ発達していない世界でどう生きるか」というヒントがある気がするんですよね。
もしもそんな技術がなくても人間には想像することができます。
「スキエンティア」を読むと「どんな絶望にみまわれても想像力があれば世界の見え方は変わる」というメッセージを感じられます。
まとめ
私は「絶望の淵にいる人がマンガを読めば気持ちが救われる」とまでは言いません。
「スキエンティア」はむしろがんばってる人にこそ読んでほしいですね。
「普通に働く」とか、「普通に生きる」ってことがどれだけすごいことかわかりますよ。
ぜひ読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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